川端二条を東へ進み、疎水手前の信号を左に冷泉通を北上すると、薄紅色の花が開いている。
平安荘跡地の空き地に養生塀で囲われているところである。
見事な樹幹に枝垂れる枝は、しなやかな女性の髪のように揺れていた。
岡崎公園内の枝垂桜は勿論、疎水縁の山桜やソメイヨシノの並木の蕾はまだ固い。
暫くすると行楽客が訪れ、十石船から仰ぎ見られることだろう。
その疎水に架かる「れいぜん橋」を渡ると、北側に桜馬場通である。
冷泉通から丸太町通までの僅か三百メートル程の道路である。
通りに面して東側は石垣の土手が続く。
中は旧武徳殿であった京都武道センターである。
武徳殿の甍の黒を背景に大きな枝垂桜が威風堂々と天に伸びているのが見える。
通り名から察するに、この枝垂桜は桜馬場の往時の名残に違いない。
既に見頃に咲き誇り目映さを感じる。