リアルな音楽を京都伏見から
蔵ジャズフェスティバル
「伏見をさかなにざっくばらん」という市民イベントから生まれた「蔵JAZZフェスティバル」が実施される。
5組のバンド演奏が予定されており、音楽ホールやイベント会場ではなく、伏見の象徴ともいえる酒蔵ならではの日本酒の試飲とJazzが楽しめる。
当日は「ゆるキャラフェスティバル」「酒蔵山本本家の蔵開き」も同時開催される。
蔵JAZZフェスティバル
■実施日:2014年3月21日(金)11:00~
■会場:酒蔵「山本本家」
京都市伏見区上油掛町36−1
■参加費:無料
■主催:伏見蔵JAZZフェスティバル実行委員会
■お問い合わせ: E-mail kurajazzfest@gmail.com [@を半角文字に]
■参考:「伏見をさかなにざっくばらん」について
伏見区役所では、区民参加型事業「伏見をさかなにざっくばらん」(愛称「ふしざく」)を2012年から、毎月最終土曜日の午後に伏見区役所にて実施している。「ふしざく」は、伏見区民が、まちへの思いをざっくばらんに出し合いながら、議論を深めることを通じて、区民主体のまちづくり活動の実現につなげて行こうというもの。この取組で延べ1000人を超える参加があり、これまで多くの区民主体のプロジェクトが生まれた。
イベント開催の背景などについて
取材:伏見情報局 タニリョウジさん
「“高槻ジャズストリート” というイベントを、5年ほど前にたまたま見たんですよ。街全体が盛り上がっていました。
駅を降りた瞬間から熱気が伝わってくる、無料バスが出ているし、バスの中でも演奏しているんですよ。露天もたくさん出て、まちのにぎわいが、とにかく楽しそうだった。
伏見でもこういうことができたらいいのになあ」これがイトウさんの活動の原風景だ。学生時代にはハードロックのバンドを結成し、ボン・ジョビやヴァン・ヘイレンの曲を演奏してきた。
その後就職し、プロダクトやグラフィックのデザインの仕事をしてきた。就職や結婚などの理由で、しばらく音楽から離れていたものの、最近また音楽をベースに楽しいことをしたいという熱意が沸き上がってきた。
伏見でやるなら、伏見ならではの魅力を出したい。例えば酒のまちである伏見ならではの地域資源といえば、酒蔵だ。これを地域活性化に活用している事例は各地にある。しかし伏見ではそれがあまりされていないとイトウさんは感じていた。
「伏見は酒蔵の町だけどあんまりイベントやっていないし、知られていない。例えば酒造メーカーさんがされている蔵開きイベントも、住んでいる人でさえも知らない人が多いのが、とてももったいないんと思っているんです」
伏見の地域のタカラの価値を広めたい。そうなると、酒蔵や商店街の力も借りたい。しかし、そこまで大きなイベントとなると、一人ではできない。そんな時、「伏見をさかなにざっくばらん」(以下、ふしざく)のことを知る。きっかけは偶然、ラジオの「αステーション」で、ふしざく参加プロジェクトである桃山プロジェクト の話を聞いたことだ。
「ぼくも桃山に引っ越して10年、桃山なのに桃の木がないのは、なんかおもしろくないなあ、と思っていたんです。
そこでたまたまラジオで桃山プロジェクトのことを聞き、同じこと考えて実現している人がいるんだと知って、それがきっかけでふしざくに参加しました毎年ゴールデンウィークの2日間、高槻市内の市民ボランティアにより運営される無料の音楽イベント。観客は毎年10万人以上を集め、阪急高槻市駅・JR高槻駅の会場周辺を中心に町中がジャズバー、ライブハウスと化す。(詳細はこちら。 http://www.0726.info/ )
ふしざくで生まれたプロジェクトの一つ。桃山はかつて桃の木が植わっていたという伝承にもとづいて、桃山で桃の木の植樹活動をしている。(詳細はこちら。http://www.momopro243.com/ )
ふしざくでは、伏見ならではの個性を出そうと酒蔵での音楽ライブを発案した。“蔵JAZZフェスティバル”と名づけてチームを立ち上げた。
しかし、なかなか具体化の目処は立たない。新しい事業が受け入れられにくいのは世の常だ。複数の酒蔵に打診するが心よい返答はもらえなかった。
その困難を突破したのは、ふしざくでの仲間だった。
「たまたま、山本本家の方と飲み仲間だった佐々木さんから、紹介してもらえたんです。佐々木さんとは、チェックイン でたまたま同じテーブルで、こんなことしたいんですけど、と佐々木さんに話したら、意気投合できたんです。
ぼくはイベントのできる場所を探していて、佐々木さんはコンテンツを求めていたんです。佐々木さんも高槻のジャズフェスティバルをご存知で説明がしやすかったんです。
そこからはトントン拍子で進んでいます。本当に出会えてよかったですイトウさんのパートナーである牧さんも、出会いに恵まれた。牧さんはそれまで別のチームに参加していたが、メンバーの就職や進学で活動が止まっていた。そんな時、たまたまふしざくで座っていた席の後ろでイトウさんの話していることを聞き、合流した。
「ぼくは音楽はできないけど、面白いことや音楽も大好き。音楽があるところでお酒飲むのは進みますよね」
牧さんは京都の老舗茶碗屋で小売と卸、販売促進の仕事をしてきた。定年退職後、なにか面白いことができないかと考え、ふしざくに参加した。
いつか出身地である徳島に、京都ではこんな面白いことをしていますよ!と面白いまちづくりイベントを持ち込んで実践していきたい、というのが牧さんの夢だ。このインタビューの直前の打ち合わせで、イベントの場所と日にちがきまった、出演者は現在交渉中だ。
「酒蔵の音の響きはすごいですよ。ライブハウスとは全然違う。この催しは、化けるかもしれない。高槻を超えるものになるかもしれないし、インターナショナル化や、いろんな会場に広げたり、他都市との連携も面白いですよね。
そのためにも、まずは3月のイベントを成功させたいです。そして後につないでいきたいですふしざくは毎月伏見区役所で実施されるが、常に新しいメンバーの出入りがあるので、毎回、参加者同士の自己紹介を兼ねた短い対話の時間をとっている。これを「チェックイン」と呼んでいる。
大きな夢を見据えながら、小さな第一歩を踏み出した蔵ジャズフェスティバルは、2014年3月21日(金)、11:00~山本本家にて実施予定だ。