補足・ウルトラマンは何故日本を守ったのか
~M78星雲に帰るわけにはいかなかった~
前回掲載した「ウルトラマンはなぜ日本を守ったのか」の記事に関して、ウルトラマンがそのままM78星雲に帰ったとしたらどうなったか、というのを補足しておく。前の記事を先に読んで置いていただきたい。
ウルトラマンがそのまま帰ったりしたら大不祥事である。護送中の怪獣に逃げられるわ、事故で地球人を殺してしまうわ。こんな不祥事を抱えて帰ったりしたら、M78星雲の記者会見でウルトラの父やらゾフィーやらが横一列に並んで「申し訳ありませんでした」と頭を下げることになる。記者や有識者からは「身内を庇うのか」という声が上がる。「一族だけで運営している組織に自浄能力はあるのか」とも言われてしまう。
ついには「国民目線で改革しなければダメだ」とまで言われて、「外部から責任者を入れなければならない」という話になる。そしてついに宇宙の○○省の役人がウルトラの理事長として天下るわけだ。宇宙の平和と安全を守る仕事をウルトラの一族だけで独占し、天下りを一人も受け入れないなんて罪万死に値すると言えるだろう。不祥事を利用して今まで官僚の天下りを受け入れていなかった大組織に次官級を送り込まねばならない。これこそが「国民目線の改革」であるから。
こうなると、ウルトラの一族としては怪獣による侵略よりもこっちのほうを阻止しなければならない。M78星雲のウルトラ本部でも、ウルトラマンに帰ってこられては困る。だから地球に残って日本を守るしかなかったのである。
最終回でウルトラマンは迎えに来たゾフィー(?)と一緒にM78星雲に帰ることになる。
何故か? ウルトラマンが帰ってしまった後も怪獣が日本にやって来るかもしれないのに。
その理由は、時間がすべてを解決したから。M78星雲からの待ちに待った連絡が来たのだ。「もう、ほとぼりがさめたよ」
かくしてウルトラマンは地球を去ったのであります。もはや日本のことはどうでもいい。
それにしてもウルトラマンの後継者たちがどうして続々と日本にやって来たのか? 教育実習のようにヒーローとしてデビューする前に日本で最後の実践訓練を受けなければならなかったのだろうか? あるいはもっと穿った見方をすると、みんな不祥事を起こしていたとか。
つまり、日本はウルトラのヒーローたちにとって旧約聖書にある「逃れの街」になっていたのではないか。不祥事を起こしたものは日本にやってきて一定期間日本を守り、償いをしつつ、ほとぼりが冷めるのを待つと。
異常……ではなく……以上、補足終わり。
【言っておきたい古都がある・249】