京都の洋食(その8)
~私の秘技伝授とさらにコロッケの話~
前回は京都の洋食について書くつもりが京都というコンセプトとは関係なしにハヤシライスのことを書いてしまった。
で、お詫びのしるしというわけでもないのだが、ここで秘技伝授。
と言うと大げさだが、私が良くやる技をご紹介する。
別のどこかに書いてあるのと同じだったらすみません。
クリームシチューの残りを翌日グラタンにする人はおられますが、エビグラタンでもなくポテトグラタンでもなく、小芋のグランはおすすめ。
一度お試しあれ。
②カレーに醤油。
カレーの味がもうひとつスカッと決まらないとき、特にスープカレーを作るのにメリハリのある味わいにしたければ醤油で調整する。
私はチリレンゲで量って入れる。
冷凍食品のカレーうどん(100円ぐらいの奴)はあまり美味しくないが、作るときに豚肉(薄揚げでも良し)と葱を一緒に煮込んで、醤油をチリレンゲに1杯足して、最後に片栗粉でトロみをつければ安物でも美味しくなる。
③ビーフシチューにウスターソース。
市販のシチューのルウが「頼りない」と思っている皆さん。煮込むときにウスターソースをチリレンゲに1杯(あくまで目安だが)足せば、あ~ら不思議、とてもコクのあるブラウンソースに変身するのだ。プライベートブランドの安物のシチューのルウでもこれで大丈夫。煮込みハンバーグもこれでOK。
それにしても、話が益々横道にそれてくるような。。。
何はともあれ、洋食の話を書き続けていたらやはり京都に関係なくてもコロッケとエビフライには言及しなければならない。
コロッケはヨーロッパのクロケットから派生したとはよく言われる。明治後期には青森駅の食堂メニューにでてくるなど、名は全国に浸透していた。
ところが、大正6年(1917)の洋食の値段はトンカツ13銭、ビフテキ15銭、コロッケ25銭と、明治から大正にかけてのコロッケはトンカツやビフテキよりも高価な料理だったという。
当時のサラリーマンの平均給与は51円。
大正時代の51円はだいたい現代の30万円ほど。
分りやすくするために当時の50円が今の30万円とすれば、1円が6000円になる。
是で換算すればトンカツ・ 780円
ビフテキ・ 900円
コロッケ・1500円
確かに高い。
しかし、明治後期に青森駅の食堂でもメニューに載ってたということは大衆的な値段のコロッケもあったのではないか。
この大正6年の資料にある「コロッケ」というのは普通の(今我々が気安く食べるポテトのコロッケ)ではなく、本場の「クロケット」ではないだろうか。肉タップリとか、カニが入っているとか。
今回見た資料にしても「明治後期には青森駅の食堂メニューにでてくる」と書いてありながら、そのメニューではいくらの値段になっているのかは書いていなかった。
「大正時代のコロッケはトンカツやビフテキよりも高かったのだ」とテレビの物知り番組風に覚えてしまうと、思わぬ間違いをするかも。
今では洋食屋さんのコロッケはクリームコロッケで、「伝統的」なポテトのコロッケはお肉屋さんとスーパーで、というふうに棲み分けが出来ているのかもしれない。私が以前住んでいた家の近所のスーパーでもは特売の日などに少し大きい目のクリームコロッケが1個100円とか98円とかで売っていたのだが、近年はコロッケの種類が増える傾向が出ていた。
ポテトコロッケ、ミートコロッケ、カレーコロッケ、カボチャコロッケ、野菜コロッケ、確かコーンコロッケというのも見た覚えがある。最近はまた違うみたいだが、これもその時々で流行があるのだろう。
コロッケにもこだわる人がいて、昔懐かしいお肉屋さんのコロッケでなければならないという。しかも冷めていること。「熱々のコロッケは邪道」なんですと。
ここまで来ると、男性というのはどんなにお金持ちになっても若い頃に貧乏していた時に食べていたものが最も美味しく感じるのでしょうか。
その点、女性のほうは負のノスタルジーを引きずることがないのか、過去を懐かしがるご主人を「みっともない事はやめなさい」と嗜めたりなさいます。
で、コロッケに戻ると、東京には「コロッケそば」というのがある由。
確かに、私も「天ぷらそば」があるのだから「トンカツそば」があっても良いではないかと、作ったことがあるが、結構美味しかった。後になってこれがメニューになってるお店を雑誌で見て「やはり!」と思った。
しかし「コロッケそば」とは。
気になったので検索してみたらあるわ、あるわ。全く知らなかったが関東ではかなりの定番のようである。
オーソドックスにそばにコロッケをトッピングしただけのものから目玉焼きも乗せているもの、ワカメやコーンを一緒に入れているもの、果てはかき揚げやトンカツも一緒に入っているのもあった。そして当然のこととして、「コロッケうどん」もある。
中には「かけそば」と「コロッケ」と別々になっているのもあって、これはカレーをご飯にかけて出すか、別々に出すかというスタイルに通じるものがある。
「マルちゃん ほくほくのコロッケそば 」というのも売ってて、かなりメジャーなローカルフードのようだ。
食べ方にもこだわりがあるようで、普通にそばとコロッケを食べるのではなく、コロッケをグチャグチャに潰して、そばと一体化して食べるのが「通」なのだとか。
こんなとこにまでこんな作法が出来るのが日本なのかもしれない。
何はともあれ、コロッケも奥が深い。
コロッケそばも作ってみたが確かに美味い。(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・318】