京都の洋食(その10)
~ハンバーグ色々~
はてさて、「京都の洋食」と言いながら単なる洋食の話になっているが、今回はハンバーグである。
ハンバーグの起源は紛れもなく西洋だが、わが国において独特の発展を遂げ、日本国籍の洋食になった。ちょうどインドが起源のカレーと同じである。
ハンバーグの起源はドイツのハンブルクで労働者向けの食事として流行したタルタルステーキとされている。
ハンブルグだからハンバーグなのだな。これは納得なのではないか。
日本でも石狩鍋とか土佐煮とか筑前煮とか、地名に由来する料理がある。
松前漬、奈良漬、長崎ちゃんぽんとかも。柳川鍋、深川丼、忘れちゃならない薩摩揚げ。
天津飯は中国の地名が付いているが日本で出来た料理である。
閑話休題。
タルタルステーキは13世紀頃にヨーロッパに攻め込んだモンゴル帝国のタタール人の生肉料理を原型としている由。タタール人は硬い馬肉を細かく刻むことで、食べやすいものに加工していたと。
ということは、正しいハンバーグというのは馬肉を使うべきなのか。
何はともあれ、普通に焼くハンバーグのほかに今や定番の煮込みハンバーグもあるが、その他にも豆腐ハンバーグにその派生系ではないかと思われるおからハンバーグもある。
チーズの入ったハンバーグもあり、日本人の感性が出ているのは「目玉焼きを添える」というものだろう。外国ではこんな組み合わせはあるのかな。
もちろん、ハンバーグカレーも見落とせない。
チーズ以外のものを混ぜたハンバーグというと、ゴーヤ、白菜、大根、キャベツ、ひじき、レンコン、もやし、などはまだ分るが、納豆を入れるのもある。
納豆はアヴァンギャルドではないかな。
麩を入れる、はんぺんを入れるというのも斬新かも。
あ、でも、麩というのは何となく分る。車麩のフライがあるぐらいだから。
和風では切干大根を入れたものがある。まあ、ひじき入りがあるのだから切干大根もあって悪くはない。
オクラ、ゴボウ、ニンジン、カボチャ、ナスビというのも良いようで、野菜なら何でも合うのでか。タケノコを入れてもいいそうである。
しかし豚ミンチとシーチキンのハンバーグとなるともう創作料理だろう。
キュウリの漬物とシイタケを入れるというのもあるが、これなどはピクルス入りにしてもいけるだろう。
ポテトサラダ入りハンバーグ。ここまで来るとハンバーグというよりはコロモのないコロッケではなかろうか。
ヘルシー路線からは高野豆腐入りハンバーグがある。
その中で良いのか悪いのか分らないのがキムチ入りハンバーグ。
なんぼひところ韓流が持て囃されたとはいえ、ここまでやるか。
もっと強烈なのがニラ入りハンバーグ。絶対に次の日まで臭いが残るぞ。
こんなの食べた翌日は、洋食ではなく中華を食べたと思われるだろう。
正に百花繚乱というべき日本のハンバーグだが、こうなるとハンブルグの人もタタール人もビックリに違いない。
今度は元祖のタタール人に敬意を表してハンバーグにタルタルソースをかけて食べるというのはどうだろうか。
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・320】