キツネとタヌキはどちらが悪い(その8)
~やっぱり狸はアホでキツネは賢い~
どう考えてもタヌキのやる事はアホで間抜けでスケールが小さいという話。
鎌倉時代、三条右大臣の館で奇妙なことが起きた。夜になるとどこからとも無く小石が飛んでくる。人にあたることはないのだが危なくてしょうがない。そうこうするうちに飛んでくる小石の数が増えて、とうとう一晩でたらい2杯分にもなってしまった。
どうしたものかと悩んでいると、館に詰めていた田舎侍が自分が解決しようと言う。
田舎侍の指示によりタヌキをたくさん捕まえてきて大量のタヌキ料理を作り、みんなで酒宴を開いた。
盛り上がったところで田舎侍が、「おのれらわ~、石なんか投げたらこうして食ってやるぞ!」
と恫喝すると、もう夜になっても小石が飛んでくることはなくなったという。(古今著聞集)
どうやら小石を投げていたのはタヌキのようである。仲間が食われ、恫喝されると「びびって」悪戯をやめたと。
しかし、この時に食われたタヌキは何の罪も無いのでは?
悪戯をしていた張本人(張本狸か)は生き残っているのに関係のないタヌキたちは食われてしまった。
これは理不尽ではないか。
だいたい、タヌキ料理なんて美味いのか?
ところで、キツネも同じような事をやっている。
常心という坊さんと巨作という隠者がいた。ある日、巨作が常心の庵を訪ねて話し込んでいると、夜中になってどこからともなく小石が飛んで来るではないか。それも次から次へと飛んできて段々と激しさを増していく。
常心が外に出てみると小石は止んだ。
しかし庵の中に戻るとまたもや次から次と飛んでくる。あまりのことに恐怖に駆られ、眠る事も出来ずに庵の中でじっとしていると、「どうだ巨作、怖いか? 常心がいなければ殺してやるのに」
という声とそれに続く大勢の笑い声が聞こえてきた。
常心が巨作を問い詰めると、巨作は庵に来る途中で寝ていたキツネに石を投げて脅かしてやったと白状したのであった。
常心はキツネが仕返しに来たのだと納得したという。(太平百物語)
やはりタヌキよりもキツネのほうが強いのか。
しかし、タヌキは武士を相手にしているがキツネは隠者だからな。強い相手は避けるのかな。
タヌキは何故かよく武士にちょっかいを出す。身の程知らずなのか、学習効果が無いのか。はたまたお人よしなのか。いや、この場合はお狸よしか。
ただ、キツネの場合は仕返しというちゃんとした(?)理由があるが、タヌキはただ単に面白がってるだけである。それで仲間をたくさん殺されてしまってるし。
やっぱりタヌキはアホなのか?
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・411】