観光立国と京都と(その1)
~観光立国の隠されたキーワードとは?~
お上のご意向によると「観光立国」とかで平成32年(2020)までに訪日旅行者を2000万人に増やすとのこと。
そして幅広いジャンルの産業を多く巻き込みながら「統合型リゾート」(IR=Integrated Resort)を生み出すらしい。その牽引役は、流通、食品、建設、製造、サービス業、医療・健康、エンタテインメント、等々。
要するに、何でもありだ。
普通「牽引役」というのはひとつではないのかな?
これは具体的にはどのようなものを目指すのか、と言う問いに対する有力な解答は
ラスベガスか? ドバイか?
である。
そこで私の判断だが、ズバリ
ラスベガス!
もうこれで決まりですね。
だって「カジノ法案」が国会に出てるでしょ。継続審議になったようだが、これは近い将来に通るだろう。自民党と生活の党と維新の会が組んだはず。
つまり「観光立国」の裏のキーワードは「カジノ利権」だろうと私は推測している。
誤解されては困るが私はカジノを作ることには反対しない。それどころか、東京湾臨海副都心など全部カジノにしてしまっても良いとさえ思っている。
奇しくも「2020東京オリンピック」なるものが行われる。それを目当てにぶっ建てたホテルはオリンピックが終ればどうなるのか、という疑問にも簡単に答えることが出来る。
全てカジノホテルに衣替えである。
子供のためにはテーマパークがある。
そして大人のためにはテーマホテルが出来る。
なるほど、流通、食品、建設、製造、サービス業、医療・健康、エンタテインメント、という「多すぎる牽引役」も、「ホテル」というキーワードを立てれば見事に全部が収まるではないか。
臨海副都心をカジノにしよう!
ただ、本場ラスベガスのカジノホテルというのは、マフィアが建てたのがかなり多いようですが。
マリオ・プーゾォの『ゴッドファザー』(映画のほうが有名になってしまったが)でも、最後にコルレオーネ・ファミリーはラスベガスに勝利の進出を遂げるのであった。
日本でもアウトローの皆さんが期待をこめて法案の行方を見守っておられるだろう。京都なら会津小鉄会の方々だな。
さて、こうなると、「観光立国」とは言われても京都はお上の政策からは距離を置くことになる。京都にカジノを作れという人はいないだろうから。
ただし、歴史的に見れば博打と京都は結びつけることが出来るのである。
どうやって?
簡単、簡単。
江戸時代、博打というのはお寺の本堂を借りてやっていたからである。
博打の上がりのお金のことを「寺銭」というのはこれに由来する。
つまり、お寺というのは町奉行ではなく寺社奉行の管轄だったから。
だからそこで博打をやっているというのが分かっていても、町方の役人は踏み込むことが出来なかった。
このように、お寺と博打は結びつきが深い。
だからカジノ法が出来たら「清水寺でご開帳」というのがあっても不思議ではない。
それはそれで構わないから、私としては京都は「いつまでに何千万人」なんて数を追うのは止めて、それぞれの地域の特性を生かした質の向上を目指すべきだと思う。
「観光立国」のスローガンは聞き流しておけばよいのである。
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・91】