化け猫だあ~(その1)
~化け猫にも正義の味方がいる~
動物の妖怪変化で定番と言えば化け猫である。だいたい化け犬というのは聞いたことがない。昔のお芝居や怪談映画でも「怪猫○○○○」というのはあるが「怪犬」というのはない。その化け猫も私が子供の頃に観た映画では無念の死を遂げた飼い主の血を舐めた猫が妖怪になって復讐をするというものであった。色々パターンはあるようだ。有名な鍋島の猫騒動とか。
しかし、世の中というのは良く出来たもので、化け猫にも正義の味方がいたのである。
江戸時代中期のこと。河内屋さんという商人には美人の娘がいた。ところがこの娘さん、ネコに取り憑かれているという噂がたって縁談がまとまらない。
確かに、この家で飼っているブチネコが娘の後をついて廻り、便所にまで一緒に入っていくという。仕方なしにこのネコを捨てに行くのだが、すぐに戻ってきてしまうのだ。
思い余った河内屋さん、ついにこのネコを殺そうとした。すると猫はどこかに姿をくらましてしまった。
数日後、河内屋さんの夢の中にこのネコが現れて言うには、
「この家にはネズミの化け物が棲み付いて娘さんを狙っています。島之内の河内屋にいる猫を借りてきてくだされば我ら2匹で退治します」
河内屋さんがもう一軒の河内屋に行って見ると確かにトラネコが飼われていた。そして事情を説明して猫を借りてくると、どこからともなくブチネコも戻ってきたのである。
河内屋さんは2匹のネコにご馳走を食わせてやり、二階へ上げてやったのだが。。。
その夜、二階で大騒ぎが起きた。まるで地震かと思うように家が揺れ、それが朝まで続いたのである。
夜が明けて河内屋さんが二階に上ってみると、ネコより大きな化けネズミとブチネコが相打ちで死んでおり、トラネコも負傷して気を失っていたという。
『耳袋』よりの一席。
一般には「犬は3日の恩でも一生忘れないが、ネコは3年の恩でも忘れる」とか言うが、探せばこういう立派な猫もいるのだ。
ペットの犬猫を飼う人たちの事を当の犬猫はどう思っているのか。次のような説がある。
犬はこう思う。
「この人たちは私のために毎日食べるものをくれて私を大事にしてくれる。この人たちは神様だ」
猫はこう思う。
「この人たちは私のために毎日食べるものをくれて私を大事にしてくれる。私は神様だ」
お後がよろしいようで。。。
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・426】