パンデミックよりも怖いアカデミック
~赤デミックウイルスの災い~
2012年6月5日に第一回「あきれカエル? ひっくりカエル?」から数えて、8年。
本コラムは、いよいよ8月18日に連載400回目。記念に「百鬼夜行展」をご一緒しませんか?
プレゼントの詳細は
http://kyotocf.com/present/kyo-mystery-400/
新型コロナウイルスの陰に隠れてアカデミックウイルスが広がっている。
中共(中華人民共和国)の「千人計画」である。
「千人計画」とは世界中で活躍する優秀な科学者を破格の待遇で中共に招聘して研究を続けてもらい、中共を世界第一の科学技術強国にするというものであるが、これの前提になっているのが「軍民融合」である。
「軍民融合」とは最先端の民間技術の軍事転用を積極的にに進める中共の国家戦略である。平成28年(2016)7月に中共は
「科学技術・経済・軍事において機先を制して有利な地位を占め、将来の戦争の主導権を奪取する」
と明言している。中々正直なのだ。だから中共を詰ってはいけない。
さらに平成29年(2017)には習近平主席をトップとする「中央軍民融合発展委員会」が設立されている。中共は何も隠してはいないのだ。どこに「隠蔽体質」などがあるか。日本の媚中派(俗に「アメリカのポチ」に対して「支那の狆」という)は中共の「軍事的脅威などない」と言うが、それは中共に対して失礼だろう。だって、中共は大っぴらに
「海外から得た民間技術を転用して人民解放軍を近代化する」
と表明しているのである。それを「違う」と言ったら中共が嘘をついていることになってしまう。つまり「中共は噓吐きだ」と断じるのに等しいのだが。
私は中共は嘘などついていないと思う。習近平主席の政治家らしからぬ愛嬌のある顔は決して仮面ではないだろうが、その内に秘めたる闘志は並々ならぬものがあるといえよう。
さて、日本人の学者にもこの「千人計画」に参加してい人がいる。
元東京工業大学の教授で今は北京理工大学に籍を置く70歳の男性なのだが、25階建ての高層ビルの22階にお住まいで、約35万円の家賃はほとんどが中共政府持ちであり、ビルには温水プールやジムも併設されている由。その上、5年間で1億円の研究費に給料、手厚い福利厚生、大学には約300平方メートルの研究室があてがわれている。仕事の内容は約15人の中国人学生の指導の他、論文の発表、特許の申請、国際会議の開催など、中共政府から求められる20余りのもので、この人はこれらを5年間継続しているのである。
https://spc.jst.go.jp/experiences/studylife/studylife_1801.html
しかもこの教授は自分の研究が
「応用すれば、無人機を使って攻撃したり、自爆したりすることができる」
と認めているのだ。
日本学術会議は半世紀も前に
「戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない」
という声明を纏めている。
これに基づいて現在でも防衛装備庁の研究助成制度への参加に反対している。
にもかかわらず、中共の軍事技術の発展に繋がる日中共同研究は「学問の自由だ」と言って「政府は干渉するな」とのたまうわけである。
つまり日本とアメリカに貢献する軍事技術の研究には反対するが、中共の軍事技術に貢献する研究には積極的にに参加するわけである。
しかし、こんな事は今に始まったわけではない。
かつて「武器輸出三原則を絶対に守れ」と叫んでいた人たちが
石川島播磨重工業がソビエトに空母ミンスク用の浮きドックを輸出した時に反対したか?
いすゞ自動車が北朝鮮に軍用車両を輸出した時に反対したか?
反対などしていない。
武器輸出三原則は
(1)紛争当事国
(2)共産圏
(3)その他、特に定める地域
には武器を輸出しない、というものである。
ソビエトや北朝鮮に輸出するのはモロに違反なのだが、どうも浮きドックや車両は「武器ではない」ということらしい。
こんなものは詭弁だろう。
昔も今も変わらない。同じことをやってもアメリカや自由主義圏は駄目だが共産圏ならいいのである。これを平然とやる大学教授がいるのであります。
平然として国を売る、パンデミックよりも怖いアカデミックである。
これを何とかするワクチンはないものか。
【言っておきたい古都がある・397】