四千年の知恵(その1)
~聖人の条件から見る俗人の生態~
今の中共(中華人民共和国)といえば途上国に金を貸して湾岸整備をさせ、返済ができなくなると整備した港を長期租借して軍艦を寄航させていく手口から国際的に顰蹙を買っているし、日本でも反中派は多い。もちろん「アメリカの言いなりになるな」と言いながら中共の言いなりになりたがる人もいる。
しかし反中は大いに結構なのだが、反中だからといって中国文学まで読まないのでは勿体無い。特に古典は「中国四千年の知恵」の源泉であり、昔の日本では教養の基本でもあった。中国の古典は中々面白いのである。
中国古典のひとつ、『近思録』には「あなたもこうすれば聖人になれる」というのがある。
簡単簡単。次の九つを目指せば良いのだ。
①寛大だか、厳しさがある。
②柔和だが、物事の処理が出来る。
③真面目だが、人当たりが良い。
④リーダーシップがあるが、謙虚である。
⑤温厚だが、内面が強い。
⑥率直だが、温かみがある。
⑦大まかだが、全体を把握している。
⑧剛健だが、内面も充実している。
⑨勇気があって、正義感もある。
ちょっと意訳になったが、これを全部クリアすれば、あなたは聖人であり人望を一身に集めると。。。
出来るか?
だいたい、「こうせよ」ということは、昔の中国にはこんな人はいなかったということである。いないから「これを目指せ」となる。
今の中共にはいるのかな。
日本でもこの逆の人を見つけるほうが簡単ではないか。
①他人に干渉するくせに、自分に甘い。
②とげとげしいくせに、物事の処理が出来ない。
③不真面目なくせに、尊大である。
④リーダーシップがないくせに、態度だけはデカい。
⑤粗暴なくせに、気が弱い。
⑥率直に物を言わないくせに、冷淡である。
⑦細かい事をネチネチ言うくせに、全体像をつかんでいない。
⑧見るからに弱々しく、内面も空っぽである。
⑨気が小さいくせに、悪さをする。
いませんか? 皆さんの近くにこんな人。これが俗物の条件だろう。
昔の中国(支那)にはこんな奴ばかりいたのでしょうか。だから最初に挙げた九つの徳目を目指さねばならないとされた。
しかし、こんなの全部達成するのは無理だろう、と誰でも思う。
では、せめて半分だけなら、という場合、どうなるか?
①寛大だけど、しまりがない。
②柔和だけど、仕事が出来ない。
③真面目だけど、とっつきにくい。
④リーダーシップはあるけど、尊大である。
⑤温厚だけど、優柔不断である。
⑥率直だけど、冷淡である。
⑦細部にこだわらないけど、何も分かっていない。
⑧強そうに見えるけど、内面は空っぽである。
⑨勇気はあるけど、無茶をする。
何か、いそう。
やはり中途半端もイカンのかな。
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・341】