京をひとまわり、六地蔵めぐり
廻り地蔵で夏にさよなら
京の人は、夏も終わりに近づいた8月22日、23日の両日、地蔵盆(地蔵尊の縁日)のときに、「廻り地蔵(六地蔵めぐり)」と呼び、都の出入り口(街道沿い)六ヶ所に祀られた地蔵菩薩を巡拝する。
800年もの京の伝統行事で、廻り地蔵をされたお家の玄関の軒先には、六色の「お幡(はた)」が吊るされていて、巡拝されたことが窺える。
このお幡は、伏見地蔵(大善寺)、鳥羽地蔵(浄禅寺)、桂地蔵(地蔵寺)、常盤地蔵(源光寺)、鞍馬口地蔵(上善寺)、四宮地蔵(徳林庵)の六寺で授かり、六枚六色のお幡を束ね家の入口に吊し、家内安全・病疫退散・福徳招来を祈願する。そして、翌年の廻り地蔵でお納めする。特に、初盆より三年間の廻り地蔵は重要で、満願するとお精霊さんが六道の苦から免れると言い伝えられている。
六ヶ所の各地蔵堂は、都の出入り口となる平安京の街道沿いに、災いが入らぬよう命ぜられるままに建てられた六角円堂の地蔵堂と伏見六地蔵より分詞された木彫地蔵尊像を護り、礼拝者の平安を営々と、ただただ祈願されているところである。
観光寺院ではないので、手狭で、広い駐車場があるわけでなく、売店もない、職員もいない。まず、地蔵堂の格子戸からも覗き見ることができない木像地蔵菩薩立像(852年 小野篁作)が一箇所(鞍馬口地蔵)あったということ。次に、後白河天皇の勅命により平清盛が命じた「六角円堂」の六角形をした地蔵堂は四箇所であり、残る二つは四角宝形(鞍馬口地蔵・桂地蔵)で、その一つは、平成17年に解体され、平成19年5月に全く形を変えた本堂となり、地蔵尊像が祀られていること。清盛が命じた建物の形について詳しくないので、小生の思い込みかもしれないが、歴史的変遷を鑑みても当時の原型を継承保存してほしいと思う。そして、常盤地蔵の六角の地蔵堂の全部が黒く(漆?)塗りこまれていて、少々異様だったこと。朽ち落ちていくことへの防止で予算的にこうなったのか、宗教的な住職の考えからか。その疑問を聞くことはできていない。最後に、覗き見た地蔵尊は百年に一度「化粧直し」がされるそうなのだが、2008年に化粧直しされたばかりで、極彩色のとても綺麗な装束と瑞々しく微笑まれているお顔に、抱き包まれるような心地に癒されたこと、である。来年の地蔵盆には必ず、六地蔵尊全てと真正面に対面しての礼拝をしたいと思う。宇治郡木幡にあった一本の桜の木から、陰陽師小野篁の手により、彫りだされたこの六体の地蔵尊は、小野篁が生死の際に見た生きた地蔵尊の姿であると伝わる。
京の伏見地蔵に安置されて以来凡そ1200年もの間、未だ人を虜にしている。京の木彫六地蔵菩薩に魅せられて(五所光一郎)から抜粋。
http://kyoto-brand.com/read_column.php?cid=5196「六地蔵まいり」に関しては他に
「地蔵盆 京の六地蔵めぐり」 by 五所光一郎
http://kyoto-brand.com/read_column.php?cid=5414
も参照下さい。丹波街道・桂の地蔵寺(桂地蔵)
京都市西京区桂春日町9 TEL.075-381-3538
阪急桂駅東口より徒歩5分、市バス桂消防署前 下車すぐ
奈良街道・六地蔵の大善寺(伏見六地蔵)
伏見区桃山町西町24 TEL.075-611-4966
京阪宇治線、地下鉄東西線、JR奈良線「六地蔵」駅より徒歩5分
西国街道・上鳥羽の浄禅寺(鳥羽地蔵)
南区上鳥羽岩ノ本町93 TEL.075-691-3831
市バス「地蔵前」すぐ
周山街道・常盤の源光寺(常盤地蔵)
右京区常盤馬塚町1 TEL.075-881-6807
京福電鉄「常盤」駅すぐ
若狭街道・鞍馬口の上善寺(鞍馬口地蔵)
北区上善寺門前町33 TEL. 075-231-1619
8地下鉄烏丸線「鞍馬口」駅より徒歩5分
東海道・四ノ宮の徳林庵(山科地蔵)
山科区四ノ宮泉水町16 TEL. 075-583-0353
JR琵琶湖線、地下鉄東西線「山科」駅より徒歩6分
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