はんなり東山花灯路
時の止まるときを体感する
花灯路の宵は日本人のDNAが刺激される時空とは言えまいか。
東京・大阪・神戸のイルミネーションの豪華さの対極にある京文化である。
まさに心を癒してくれるやさしさを持っているのだ。
青蓮院から清水寺にかけての4.6Kmにおよぶ散策路には、2400個もの「露地行灯」の明かりが揺らめき、京焼・清水焼、京銘竹、北山杉磨丸太、京石工芸、金属工芸などの伝統技術の粋が凝らされている。
石畳と町家、茶屋風情に味わいある散策を楽しむ最中に、寺社のライトアップが更に効果をあげてくれている。
神秘に青蓮院光の庭。
存在感と夜空の知恩院三門。
幽玄なせせらぎ、円山公園。
清涼に光る竹林は高台寺圓徳院の境内庭園。
荘厳に迫る八坂の五重塔。
そして、天高く燃え昇華の清水寺伽藍。
昨年訪れた折の小生の印象がメモに残されていた。
今年は3月10日(土)に始まり、21日の祝日まで開催される。
「京都東山花灯路2007」に是非足を運んで貰いたい。満足がお約束できるものである。まだ5周年の事業ではあるが、すっかり京都の伝統行事の様に思える。
さて、この催しを堪能するには、暮れなずむ頃が狙い目だ。
時間配分に十分配慮されるのが懸命である。まず夕方前に東山に立つ。
東山の麓から西に目をやると、天の高いところからグラデュエーションしていくミッドナイトブルーとグレーが合混じり、穏やかなオレンジイェローが現れ、橙と赤がせめぎ合う。
すると、時が進むとも止まるとも、分別のつかない瞬間に出会える。
そして、自然光の光と影を映す石畳に、行灯の暖かな明かりが差し、ドラマチックなときめきを感じさせてくれるのだ。
イルミなどなかった頃に、夕餉の家路に向かう少年時代が小生には訪れる。
それぞれにデジャヴを体験していただけるだろう。
また、この時間帯は夕食と一献をどこで取るかが、更に重要であることは言うまでもない。
東山の散策路を外れないで、6時迄に夕食を済ませるか、消灯の9時半以降に夜食をとるか、行灯の点る中食事をとるかを先に決めるが良い。
成り行きではラストオーダーにも間に合わず、食事抜きで、結局アルコール漬けで帰路につくプランにしかならない。
この界隈には、京懐石もフレンチもイタリアンも、勿論おばんざいも。
座敷カウンターの画廊バーまである。
より取り見取りであるからにして早々に手配されるのが良かろう。
京都・花灯路推進協議会
http://www.hanatouro.jp/