平成の玉音放送を聞いて
~大御心は宮中祭祀にあり~
今回の内容の半分ぐらいはフェイスブックに書いたのだが、大事なことなので何度でも書く。
まず「生前退位」という言い方はない。
天皇陛下が皇太子に位を譲ることは「譲位」という。単純明快である。誰かブン屋に正しい言葉を教えてやろうという奴はいなかったのか。
一体誰がこんな言葉を「でっち上げた」のか興味のあるところだが、犯人探しに流れると却って陛下のご意向が無になるので、ここでは棚上げにする。
ただ、文藝春秋九月号の記事(131P中段・136P下段)によると、皇后陛下は「退位」ではなく「譲る」という言葉を使われた由。やはり「ご意向」を笠に着る連中は陛下の真意を曲げているのだ。
何はともあれ、譲位のご意向の理由として「ご公務」が喧伝されているが、役人が「ご公務の軽減」の名のもとに宮中祭祀を縮小して来たことは斉藤吉久氏が何度も指摘されている。
私は今上陛下の真意はこの「宮中祭祀を守ること」だと考えている。
今上陛下が即位されて最初になさったのは、昭和の終りごろ先帝・昭和天皇のご高齢を理由に木っ端役人が勝手に簡略化した宮中祭祀を元の形に戻すことであった。
陛下は祭祀を重要視されているのである。
しかるに今また、昭和末期のように宮中祭祀が狙い撃ちで潰されようとしている。もし陛下がお隠れになったあと祭祀は元に戻せるだろうか。この危機感である。
そこで陛下がお元気なうちに譲位すれば、上皇として新帝即位後の宮中祭祀復元に自ら関与できる。
今上陛下は宮中祭祀を守るために譲位の意向を示されたのである。
一番の問題は皇太子殿下が今上陛下が即位されたときの年齢を超えられたということ。
もし皇太子殿下が還暦を過ぎてから即位となれば、祭祀簡素化を狙う一派は「陛下のご高齢」を理由に宮中祭祀を簡素なままにしておこうと企むだろう。平成初期のような復活は難しくなる。今上陛下はこれを阻止しようとしておられるのだ。
「保守派」と言われる団体が譲位に反対している由。その主張を読んだわけではないが、本気で反対しているとすれば「保守派」の名が泣くだろう。陛下の譲位のご意思をないがしろにして皇太子殿下の高齢化を進めていけば、その先にあるものは宮中祭祀の簡略化と、いずれは廃止しようという陰謀である。
宮中祭祀の廃止に道筋をつけるのが保守派なのか?
人によっては「陛下は新しい天皇像を求めておられる」と言う。
それもない。
新しい天皇像を求めておられるのなら譲位の必要はないのである。
では何故、譲位しなければならないのか。
新天皇の高齢を理由に宮中祭祀が潰されてはならないからだ。
今ならまだ間に合う。
日本を日本たらしめているのが天皇陛下である。
その本質は陛下が祭祀を司られるということ。
宮中祭祀を守るということが日本を守るということなのである。
【言っておきたい古都がある・198】
編集部より
もうすぐコラムの連載200回目です!
谷口年史さんの「言っておきたい古都がある」は、平成24年6月5日、第1回「あきれカエル? ひっくりカエル? 〜新興宗教だって真面目にやってる〜」から4年余、京都の話題のみならず、国際的、国家的な課題疑問、さらには幽霊界の謎にいたるまで200回に及ぶこととなりました。
この夏には両陛下のお写真を自らのfacebookでタイトル画像に掲げる谷口氏にとって一大事であろう天皇の譲位に関するビデオメッセージが発せられ、彼はこれから折に触れこのテーマに言及すると推察されます。
プロフィール、facebookアドレスは、
http://kyotocf.com/taniguchi-toshifumi-profile/
まあ、それはそれとして200回を記念して谷口氏主宰の「京都ミステリー紀行」に読者の皆様をご招待したいと存じます。
前回100回記念の伏見エリア企画は大型台風と見舞われ見事飛ばされてしまいましたが、今回はどうなることか。
仔細は、追ってお知らせします。