地獄八景へようこそ(その2)
〜オプショナルツアーはさらに下の地獄を行く〜
全部で八層になっている地獄の今回は三層目から下をご案内する。
京都ミステリー紀行の冥界編と同じく、松原通を歩きながら地獄めぐりと洒落込もう。
(松原通の名所は地獄とは関係ありません)
●地獄八景観光ガイド
第3景は衆合地獄。
ここは邪淫の罪を犯した者が行く。すなわち不純性行為ですね。スケベな人は要注意である。
ここで死者は前方の林へと追い立てられる。
すると木の上に絶世の美女(死者が女なら美男)がいるのだ。それが「こちらへおいで」と手招きをしている。
邪淫の罪を犯していた死者は大喜びで木に登るのだが、その木というのが葉の1枚1枚がカミソリで樹皮は針のようになっている。邪淫の死者はそれらで身体を切り刻まれるのである。
死者が登ると、プスプスプスプスプスッ、っと樹皮と葉が刺さる。
血まみれで上に来たら美男美女はいつの間にか下にいて、「こっちへおいで」と手招きをしている。邪淫の死者は木を降りていくのだが、ここでまた樹皮と葉がプスプスプスプスプスッ、と全身に刺さる。降りたら美男美女はまた木の上にいて。。。
これが延々と続くのだ。
そんなもの、登らなければ良いではないかと思った人。甘い。
邪淫の罪を犯した者達は自らの業によって登ってしまうのである。
ここでは同性愛も罪になる。この快楽にふけったものは逆さ釣りにされて肛門から溶けた銅を流し込まれるのだ。
銅は死者の身体を内側から焼き尽くして口から出てくる。これが延々と続く。
行きたくありませんね。
アメリカあたりでは同性婚を認めるとか認めないとか言っているようだが、ふふふ、死んだらこうなるんだよ。
しかし何と、これよりまだ深いところにはまた別の地獄がある。
それはどのような所なのだろうか。
【こちらは現世】
ここは平等寺。因幡堂とも呼ばれている。江戸時代には比叡山延暦寺の根本中堂、太秦の広隆寺などと並ぶ名薬師として信仰を集めていた。
「こんな町中にこんなお寺があるんですか」と尋ねる人もおられますが、町中に寺があるのではなく、寺のある所が町中になってしまったのである。開発の波は委細かまわず襲ってくるのですね。
確か、大島渚監督の遺作「御法度」にもこの因幡薬師が出てきたはずである。ここの境内で誰か殺されるという設定だったと思う。
今でもあるのかな、ここには人の形をした紙に悪い事を書いて桶に入った水に入れると紙が溶けて悪いことも溶けて流れるという、おまじないみたいなものがあった。地主神社にもあったな。同じ物のようだから、そういうのを作っている業者が納入しているのだろう。
ある人がその人形に「煩悩」と書いて桶の水に投じた。
すると人形の紙が溶けていくにつれて、その人まで溶けてなくなってしまったという。
全身これ煩悩の固まりだったのだな。
●地獄八景観光ガイド
第4景は叫喚地獄。
ここは飲酒をしたものが行く。
飲酒ががアウトなら私は毎日犯しているぞ。これではここに予約席が用意されているのではないか。
これは「度を越した飲酒はダメよ」と、緩やかに解釈しておきましょう。でないと酒飲みは安心して酔っぱらえない。
で、度を越した酒を飲み、たとえばそれで飲酒運転で誰かをひき殺したとしよう。
その人を待ち受けているものは。。。
叫喚地獄の責め苦は鬼に手足を押さえ連れられ、酒の代わりに溶けた銅を口から流し込まれるのである。
銅は死者の身体を内側から焼き尽くして肛門から流れ出ます。この苦しみに大抵の人は叫び声をあげる。
だから「叫喚地獄」なのだな。
それにしても、お酒の熱燗は夜になるとまだまだ寒い今の季節に重宝するが、銅の熱燗は願い下げですねえ。
さて、地獄にはまだまだ下がある。
現世では「上にはうえがある」と言うが、地獄では「下には下がある」のだ。
来週はもっと下をご案内しよう。
【言っておきたい古都がある・43】