嫌な相手を消しましょう(後編)
〜縁切絵馬の伝えるもの〜
さて、前回に引き続き安井金毘羅宮の絵馬を紹介していくが、前回の総論から今回は各論に移る。実際に賭けられていた絵馬を見ていくとしよう。
先ず1枚目。
「夫と浮気相手との縁を切ってください」
これはオーソドックスである。旦那はバレてないと思ってるけれども、実際はバレバレ。お天道様はお見通しなのである。
奥さんがこういう絵馬を掛けるというのは、まだ旦那さんを愛しているからである。そのおかげで知らぬ振りをしてもらっているのに気づかない旦那は間抜けということになるのだろうか。
ちなみに、昔から「知らぬは亭主ばかりなり」という言葉もあって、これは普通に解釈すれば「周りの人はみんな知っているのに旦那さんだけが奥さんの浮気に気づいていない」ということ。
つまり、自分が浮気をしようが、奥さんに浮気をされていようが、「知らぬが仏」は常に旦那のほうなのである。
うーむ、これって、男はとことん間抜け?
2枚目を見てみる。
「嫌いな上司と縁が切れ、よい上司とめぐりあえますように」
このような職場の人間関係にまつわる絵馬も多い。上司というのは自分では選べないので「当たったらバンザーイ、外れたらショボーン」の世界である。たまにお茶をご馳走してくれる上司がいるかと思えば目下の者に煙草をたかる上司もいる。仏教で言う「生老病死」と同じで、自分の力ではどうする事も出来ない「苦」である。その「苦」を取り除くためには縁切絵馬の出番なのだろう。
他には不和な同僚がいなくなるように願った絵馬も散見する。
3枚目。
「2年半付き合った彼のような人間と、2度とご縁のないよう、お護りください」
この女性は2年半かけて彼氏を見限ったのである。
過去の例から見れば、この神社に絵馬を奉納する女性には「立場の弱さ」という背景があった。しかし現代では、このような積極的な感じのものまである。平成の現代ならではだろう。
4枚目。
「旦那が浮気をもう二度としませんように!! 浮気をさせない私になりますように。幸せな家庭を築けますように!!」
これも積極的である。浮気をした旦那を許し、「浮気をさせない私になりますように」と自戒も込めて、決意も新たに幸せな家庭を作って行こうという。
この絵馬のユニークなところは奉納された時点で旦那の浮気については解決しているらしいことである。つまり旦那が将来において浮気と縁を切るように願っているわけである。未来志向といえようか。
5枚目。これはかなり特異である。
「小沢一郎と日本の縁が切れますように。日本から売国奴がいなくなりますように。皇室が守られますように」
2年前であるから、恐らく民主党が中共の習近平と天皇陛下の会見をゴリ押ししたときのものだと思う。小沢氏と日本の縁は切れていないが、小沢氏と民主党は縁が切れてしまった。この辺り、神様もたまにはコントロールを誤るのだろうか。
【言っておきたい古都がある・15】