おりんちゃんのいる町
〜西本願寺門前町は面白い〜
ゆるキャラというと、もう手垢がついてしまって珍しくもなんともない。ひこニャンの一人勝ちだとも思うし。
一時期、私はこのゆるキャラとの遭遇率が高く、ツイッターとフェイスブックに「私が出会ったゆるキャラたち」というのを写真つきで断続的に掲載していた。
その時に出会ったのが「おりんちゃん」である。
一目見て、ぶっ飛びました。
これは凄い。ひこニャンを越えるかもしれない。
日本人なら誰でも知っている、お仏壇にある、あの「チーン」である。正しくは「おりん」というのだが、それがそのままゆるキャラになった!
ベタだけど凄い。本来なら付喪神になってしまうはずが、見事に可愛いキャラクターになっている。
最近、熊本県の「くまもん」が大きな顔をしているが、おりんちゃんのほうが上だぞ。比べてみよう。
西本願寺門前町の偉いところは「おりんちゃん」というゆるキャラを作って作りっぱなしにするのではなく、ちゃんと活用していることである。戦略があるのだ。
去年の12月から親鸞聖人の月命日である16日に合わせて「いちろく市」というのを開催している。伝道院の前に店が連なり、現在では約20店が参加している。
始まったのが去年の12月というのがミソなのである。
去年一体何があったか?
ひょっとしたら皆さんもうお忘れかもしれないが、「親鸞聖人750回忌」である。
放っておいても人が集まる年であった。こういう「法事」やNHKの大河ドラマなどで急激にに人が集まることは珍しくもない。ただ、問題はその翌年なのである。
「宴のあと」をどう盛り上げるか? これは重要な課題である。
大河ドラマの舞台になった翌年、天国から地獄に落ちた地域もある。
西本願寺門前町はその課題に挑戦し、新たな「市」を作り着実に進んでいる。6月16日には「おりんちゃん」と楽器を演奏しながら練り歩くイベントもあった。関係者は準備や練習で大変だが、それを厭わずに集まる人がいるのである。将来が明るいではないか。
門前町を眺めてみよう。
いちろく市が行われるのは伝道院の前だが、この伝道院は極めて異国風の建物である。西本願寺の持ち物とは思えない。京都タワーのことを「京都らしくない」と批判する人たちはこの伝道院をどう思っているのだろうか。絶対に京都らしくないはずなのだが。
伝道院は西本願寺の境内からも見える。伝統的な寺院の境内から見える伝道院の姿は異様と言えば異様なのだが、これに京都タワーの様なクレームをつけた人というのは寡聞にして知らない。
西本願寺に入ったら御影堂の前にある天水桶も見ておこう。良く見れば天邪鬼がこの石の桶を四隅で支えているのである。こういう細かいところを見るのも町歩きの楽しみである。
【言っておきたい古都がある・4】