三島由紀夫没後50年に寄す
~三島由紀夫事件は森田必勝事件だったかも~
三島由紀夫氏が自刃して50年ということは、これで著作権が切れた!
もう誰でも自由に使えるわけだが、こうなると積極的に戯曲を舞台に掛けてほしい。南座でやってくれないかな。
私としては「癩王のテラス」「黒蜥蜴」「鹿鳴館」「サド侯爵夫人」「わが友ヒットラー」「近代能楽集」は観てみたい。
だいたい、三島由紀夫は小説よりも戯曲のほうが読んでいて面白いのである。もっとも、だから活字の段階で完璧に完成してしまっている故に舞台での俳優さんは凄くやり難い、というのを聞いたことがある。要するに、何もかも三島が書いた通り演じなければならず、俳優の個性で何かをやる隙間が無いということか。
まあ、ご本人の最期は創作した戯曲以上にドラマチックだったけど。
あの派手な切腹については色々な人が色々な事を言っているのでここではパスしたいが、あの一件は盾の会の森田必勝も腹を切っている。よほど心酔していなければ出来ることではない。というか、いくら三島に心酔していたって、自分まで死ねるか?
やっぱり森田も死にたかった。あるいは森田こそが死にたかった。いつまでたっても変わらない日本の現状にイラついた森田から
「先生、いつまでクズクズしているんですか」
と詰め寄られて、それまでの言動から笑って誤魔化すわけにもいかなかった三島さんがだんだんと追い詰められて行き、とうとう本当にやっちゃった。
自分の「行動」に酔っていた三島由紀夫が森田必勝の「純粋さ」に振り回されて、まさかまさかの切腹になってしまったのではないか。
森田さえいなければ、三島はいつまでも「兵隊さんごっこ」を続けながら長生きして、そのうちノーベル文学賞を取っていたのではないかと思う。
【言っておきたい古都がある・415】