昔の映画は面白い(その7)
~昔オールスターキャストの映画があった~
『古事記』から離れて話題をオールスターキャストに変える。
西洋のオールスターキャストといえば、アガサ・クリスティーの名作を映画化した「オリエント急行殺人事件」が先ず一番に思い出される。他にも「タワーリング・インフェルノ」とか「大脱走」や「史上最大の作戦」とかもオールスターの映画だった。「オーシャンと11人の仲間」もオリジナルは「フランク・シナトラ一家勢揃い」の作品である。
これが日本になると意外とワンパターン。オールスターキャストといえば大抵「忠臣蔵」になる。
他の作品だと主演級俳優同士で役の取り合いになってしまうとの事。「忠臣蔵」ならどれも「いい役」なので喧嘩にならない。名優たちの顔を立てるのは大変なのだ。
「タワーリング・インフェルノ」でも主演2人の名前をどちらを先に出すかで揉めたらしい。
日本では「大規模なオールスターキャスト」だと「忠臣蔵」だが、「やや規模の小さいオールスターキャスト」の場合は「清水次郎長」になる由。これも次郎長一家の誰でも「いい役」なので。
しかし、今時「清水次郎長」といっても分る人は少ないのではないかな。静岡には次郎長通り商店街というのがあるそうだが。まあ、伏見にも龍馬通り商店街があるけど。
そのうち「水戸黄門」も分らなくなるのだろうか。私は「忠臣蔵」と「水戸黄門」と「少年探偵団」は日本が続く限り続くと思っていたのが。
それと、「忠臣蔵」は今でも有名だが「曽我兄弟」はすっかり忘れ去られている。
「曽我兄弟」というのは富士の裾野で巻狩りをやつている何千人といる所に兄弟2人だけで乗り込んでいくのだから、かなりスケールの大きな話である。スケールが大きすぎて映画にしにくいのだろうか。しかし、現代の技術を使えばかなり雄大な画面になると思うのだが。
曽我兄弟だけではなく、鍵屋の辻の荒木又右衛門や高田馬場の中山安兵衛もかなり忘れられてるかも。もう京都でもこんな映画は撮らないだろう。
洋画で「仇討ち」というと、これは「復讐」と言ったほうが良いようで。。。「仇討ち」と「復讐」というのは似て非なるものである。「仇討ち」は公的に認められたもので「復讐」は私的なものだから。
「忠臣蔵」は公的には認められていないのに「仇討ち」をやってしまった変則的な例だろう。
洋画の復讐映画でベストって何だろうか? やっぱり「黒衣の花嫁」か。これは原作がコーネル・ウールリッチなので面白くて当たり前。
そうそう、外国の復讐物の最高傑作は『モンテ・クリスト伯』である。原作はフランスだけど。
何はともあれ、話が横道にそれてオールスターから仇討ち・復讐になってしまったが、現代の映画でオールスターキャストというのは作る余地があるのだろうか。しかし作ったとしても「AKB総出演」程度の話になってしまうかもしれない。
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・393】