四千年の知恵(その28)
みなさん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
~笑顔で友好が一番危ない~
昨年から続いている中国「四千年の知恵」シリーズは年を越してしまいました。このネタでもう半年も引っ張っています。(笑)
そろそろ次のネタを考えなければならないのですが、もうしばらくお付き合いください。
『韓非子』説難第12
鄭の武公は胡を討とうと考えた。
そこで先ず、娘を胡君に嫁がせて相手を感激させた。
そして家来を集め、「どこの国を攻めたらよいか」と訊ねた。
太夫の一人が「胡を攻めましょう」と答えると、武公は激怒し、「胡は兄弟の国である。そこを攻めよとは何事か」
と、その太夫を殺してしまったのである。
これを聞いた胡君は感激のあまり鄭に対する防衛が疎かになり、無防備になったのに付け込んで武公は胡を攻めて陥落させた。
中国4千年の知恵。味方の振りをして騙す。
気をつけよう、甘い言葉と支那の友好。
油断大敵である。
だいたい大昔の中国は外国から使節が来ると、相手が優秀な人物でいわゆる「切れ者」だと見たら粗略に扱い、何の成果も持たせずに帰国させた。
ところが相手が無能で馬鹿だと見たら歓待し、お土産もいっぱい持たせて帰国させていた。
何故こんなことになるか?
優秀な相手を手ぶらで帰らせたら、相手国の国民は
「何だこいつは。偉そうなとこを言って何もできないではないか」
とその優秀な人物を見下す。
そして無能な人物を鐘と太鼓で持ち上げて、これでもかとばかりヨイショして帰国させると、相手国の国民は
「わーっ、この人は凄い人だ!」
と、その無能の馬鹿を評価する。
こうして優秀な人は退けられ、無能な者が出世する。
すると当然その国は無能な者が為政者となって衰退していくわけである。
中国四千年の知恵。長期的な眼で見る。友好ムードを盛り上げて、馬鹿で無能な政治家が国のトップに立つように仕向ける。長大な計画である。
で、続いて『韓非子』説難第12
衛の君主は美少年を寵愛していた。
その美少年の母が病気になった時、嘘をついて君主の車に乗って母の元に駆けつけた。
それを聞いた君主は「母の為に罪を忘れるとは親孝行だ」と感心した。
ある日、この美少年が半分食べた桃を君主に差し出した。
君主は「美味しい桃を半分くれるなんて、私を愛しているのだな」と感心した。
歳月が流れ、この美少年の容貌が衰えてくると、君主はちょっとした過ちでも言った。「こいつは昔、無断で私の車に乗ったうえ、この私に食べ残しの桃を食わせたりした」
中国4千年の知恵。何事も当たり前だと思うな。
気をつけよう、甘い言葉と支那の愛。
国力のある国に対しては下手に出て、国力が衰えると上から目線になるという。
今、友達だと思っても、こちらが落ち目になると掌を返すと。
よくある話かもしれません。
昔の中国ではなく、今の中華人民共和国でもね。
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・368】