京都の洋食(その12)
~ロールキャベツの日本的進化~
「京都の洋食」と言いながら一向に京都と絡んでこないお話を続ける。
ロールキャベツというのは明治28年(1895)刊行の『女鑑』に「ロールキャベーヂ」として紹介されているものが初見らしい。
しかし、私は「実は江戸時代からあったのではないか」という仮説を立てている。
キャベツというのは江戸時代からあった。なので鶏のつくねか何かを包んで煮しめる料理があったとしても不思議ではない。現に今はおでんのネタになっていて、私の地元の伏見でもロールキャベツを売りにしている「べんがらや」というおでん屋さんがある。
ここのロールキャベツはおでん屋なので当然和風なのだが、季節限定でトマト味ロールキャベツ、クリーム・ロールキャベツというのもあり、またタンシチューとか〆のカレーライスなどもあって、少し洋風に傾いている。私は1回でいいからここでタンシチューとかフライ物やサラダだけを注文し、おでんは1つも食べずに帰ってみたいと思っている。しかし中々予約の取れない店なのであるな。
前にも書いたと思うが、我々のイメージとは逆にキャベツというのは江戸時代からあり、白菜というのは明治になってから日本に入ってきた。
故に、テレビの時代劇なんかのラストシーンで、事件が片付いた後に主人公たちが鍋を囲んで「白菜の美味しい季節になりましたねえ」なんて言っているのは大嘘ということになるわけだ。
ところで今、この白菜を使用した「ロール白菜」というのもあるらしい。流石に洋食屋さんにはないと思うが、今度作ってみよう。
だいたいロールキャベツというのは普通は煮込むもので、オーブンで焼くものもあるとのこと。
定番の煮込みにしても普通にコンソメスープで煮込むものからカレー煮込み、トマトソースにホワイトソースと「お約束」のレシピがある。
ミンチ肉を使ってネタを作るのでそこに別のものを混ぜるというのも定番。
チーズを入れるのは常識の範囲内だが、ウインナーソーセージ、玉子、ホウレン草、しめじ、カボチャ、豆腐、そして雑穀。
雑穀を入れるというのは、ロールキャベツの起源とされるトルコ料理のドルマというのはブドウの葉で肉や米などを包んで煮込むものだから、本来の姿に近いことになる。東欧やアラブでもお米を入れる由。
しかし何といっても日本のロールキャベツで特筆しなければならないのは「縛り方」である。「縛り方」といっても決してSMではない。
他国のロールキャベツは紐で縛る。
しかし日本のロールキャベツはかんぴょうで縛る。(家庭料理としては爪楊枝で止める事もあるが、それはこの際無視)
これがどういうことかと言うと、
結んでる紐も食べられる!
世界中探してもこんなに進化したロールキャベツはありませんよ。
正に日本人の知恵なのである。
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・322】