暦は当たる。その秘密(その5)
~凶運の月を盛運で乗り切る~
暦に書かれている運勢は当たるかどうかを1年間検証した昨年の4月は「凶運」であった。1年を通して「盛運」の年の「凶運」の月に、私はどのような凶事に巻き込まれたのか?
まず暦に書かれたご託宣なのだが、
「何かと迷いの生じやすい時期だが、あれこれ転換に妄動せぬ様に。何事にも明るく前向きに取り組む気概が運気を活気づける」
とある。何かこう、当たり前のことではないか。
たとえば、これが「吉運」だったとしても、
「何か迷いが生じても、あれこれ転換に妄動せず、何事にも明るく前向きに取り組む気概が運気を活気づける」
とすれば、そのまま使える。いや、「開運」でも「中運」でも使えるではないか。
こりゃ、当たりますわな。
そこで、凶運の昨年4月、私はどうなっていたのだろうか。
4月1日。買ったばかりのパーカーの万年筆にインクを入れようとしたら、突如としてペン先がはずれて全体がバラバラになってしまった。原因不明。仕方ないので修理してもらうことにする。しかし買ったばかりだぞ。万年筆愛好家の私にも理解不能。買った店に持っていったら担当のオジサンも
「まるでキツネにつままれたようです」
と呆然としていた。
4月5日。年明けからご朱印を希望する人が圧倒的に増えたので、それにあやかろうとして作った「京都ミステリー紀行のご朱印めぐり」ツアーが、ついに集客ゼロという大記録を作る。
ということで、あえなく終了。企画倒れに終ってしまった。
4月13日。晩御飯を作ろうと、台所の電気ヒーターをつけたら、いきなりブレーカーが落ちた。それも台所部分のブレーカーではなく、漏電ブレーカーが落ちたので部屋中真っ暗け。
4月19日。修理に出した万年筆が戻ってくるまで古いくたびれた万年筆をもう一度使っていたら、ペン先の接合部からインクが漏れているのが見えた。はて、インクの膨張かと思って、ペン先にちょっと触るとぐらついている。「え?」と思ったその矢先、ペン先がスポッと抜け落ちてしまったのである。これはもうほとんど怪奇現象である。
うーむ。中々の凶運ではないか。
しかし昨年は盛運の年。悪いことばかりではない。これらの凶事がその後どうなったかというと、
修理に出した万年筆は買ったばかりだったので「無料で新しいものと交換します」という連絡あり。ラッキー。
ご朱印めぐりの失敗の原因は――ご朱印を貰うのにひとつ300円。効率的に10ヵ寺まわったらそれで3000円。ツアーの参加料が2000円で、〆て5000円かかる。こりゃ中々出しにくい。つまり、短い時間で効率よくお寺を沢山廻っても、全部のお寺でご朱印なんて貰ってられないから、誰も来なかったと。
効率的とか能率的というものに流されすぎた私の失敗であった。
しかし、原因が分かれば諦めもついた。
電気ヒーターはマンションの管理会社に電話したら、「水をこぼしたりしてませんか」と訊いてきた。そういえば、その前日、私は台所の掃除をして水も大量に使ったが。。。
そのとき、隙間から水が入ったのかもしれない。で、2、3日したら乾いて元に戻るかもしれないというので、そのまま放置。5日後の朝、恐る恐る電気ヒーターのスイッチを入れたら、無事に使えた! 自然に回復したので修理代も何も要らず。助かった。
ちなみに、電気ヒーターが使えなかった間はカセットコンロを使っていたので生活に支障はなかった。実は普段から併用している。
ペン先が外れた古い万年筆は、今度こそ本当に引退。これは仕方がない。
この顛末を見る限り、やはり昨年の私は「盛運」だったのである。悪いことが起きても無事に乗り切れる。
で、次は5月である。
さて、私はどうなったのか?
(来週に続く)
【言っておきたい古都がある・226】