カフェのトイレは素敵の延長であるべし
意外とカフェでは大切な
非現実の小部屋の話
文/あらた(2009.6掲載)
私はカフェをつくる仕事をしていますが、プライベートでもよくカフェに行きます。カフェに行く目的は人それぞれだと思いますが、私の場合、自宅を日常とするならばカフェの空間は非日常であり、そこに身を置くことによって、いつもとは違う感覚になれたりするのが心地よいのです。そしてそんな非日常空間からトイレへ行って、もしそのトイレが自宅のトイレと同じなら、一気に現実に引き戻されてしまいます。
やはり素敵なカフェのトイレは素敵の延長であってほしい。さらに凝っていてくれると、なお楽しい。カフェはお腹も満たされるけど、それ以上に心も満たしてくれる場所だと思うので、食べ物や接客サービス以外の要素にも力を入れてほしくて、そういう付加価値の部分もカフェの魅力だと思うんですよね。
「トイレを見ればそのお店が分かる」とは、一般的に衛生面などについて言われることが多いですが、私はビジュアルも含まれると思っていて、トイレに凝れるお店は遊び心のあるお店だと思います。そういう遊び心がカフェには大切で、今回は「おにかいカフェ」という、地上2階にあるカフェを基本にした特集ではありますが、ここにご紹介するトイレたちは、立地にはこだわらず、店主の遊び心があふれた素敵な作品です。
狭い空間であるため、店内よりもディスプレイなどとの距離が近くなり、細かな物までが見えます。また店と客が1対1になる場所でもあるので、お店からのメッセージも伝えやすい場所とも言えるでしょう。
おこがましい言い方かもしれませんが、これを読んで「あ、そう言えばウチは何もしていないなぁ」というカフェの方は、ぜひトイレにも目を向けていただければ面白いと思います。それは、私のために(笑)。
そして読者の皆様は、これからカフェに行った際には店内だけじゃなくて、ぜひトイレもチェックしてみてください!
文/あらた
兵庫県出身。カフェの立ち上げが主な仕事。数々の個性的なカフェを企画しオープンしている。運営やコンサルが中心だが、雑貨的な目線によるインテリアコーディネートのセンスにも定評がある。バーバチカのトイレがお気に入り。その他、雑誌の編集に関わったり連載ページも担当するなどメディアでの仕事も多数。2006年、女子3人からなるイラストレーターのユニット「あらたガールズ」を組織し、イラストの分野にも活動の場を広げている。
喫茶店と雑貨屋が多く存在する神戸の街で育ったせいか、子供の頃から喫茶と雑貨が大好きで、オリーブ少女全盛期のトアウエストで10代を過ごす。(ちなみに20才で古物商免許を取得)ここで数々のカフェや雑貨店の立ち上げに参加するが、阪神大震災を機に京都へ移住。夜の街祇園に T~ARATAというBarをプロデュースしたのをきっかけに飲食プロデュース業をスタート。2000年にオープンしたカフェ&ギャラリーがヒットし昼の世界へ。ここでは飲食だけでなく関西の若手アーティストの育成にも力を注いだ。その後も関西を中心に数々の個性的なショップを企画しオープンさせた。また2002年には自身の雑貨店も経営。
blog:カフェと雑貨の日々。http://quiero.jp/blog/arata/
кафе бабочка バーバチカ
■京都市北区上賀茂今井河原町66Tree’sビル2F
http://www.trunk-barbatica.com/
CAFE OPAL カフェ オパール
■京都市東山区大和大路通り四条下ル三丁目博多町68番地
http://www.cafeopal.com/
サラサ3
■京都市中京区三条通猪熊西入ル御供町293
http://www.cafe-sarasa.com/
和カフェ yusoshi+codomoshow
ワカフェ ユソーシ コドモショウ
■京都市中京区御幸町通御池上ル亀屋町378 5F