「 母 TSUNAGU 未来展」
祖母、母、白井貴子 三世代が奏でる愛のメッセージ
2019年1月19日(土)、お陰様で私も還暦を迎えました。60年前、私を産んでくれた母の名前は「光子」。現在86歳でどうにか元気に暮らしていますが、60代でリュウマチを発病。寛解かと喜んだのも束の間、5年前パーキンソン病を併発、未だ痛みと戦い続けている母です。実はその母が、幼い頃はもちろん、81年のデビューから「CHANCE!」のヒットあたりまでのステージ衣装を縫ってくれていたのはご存知でしたでしょうか。「ロックの女王」と呼ばれるきっかけとなるイメージを生み出した衣装だと思うと、母の手仕事の大きさを痛感するばかりです。でも今では歩行も難儀で、大好きだったミシンの前に自力で座ることもできなくなってしまいました。そして昨年、幼い頃よく一緒に歌を歌った11歳年上の姉のような存在だった叔母が、介護の甲斐もなくALSという難病で他界。その後、一人暮らしだった叔母の荷物を整理し、藤沢の実家に運び込み片付けをする中、私は目の前の風景に唖然としてしまったのです。なんと私の手元に、お婆ちゃんの針箱・手芸引退の母の 針箱・急に主人を失った叔母の針箱、私のものを入れると4つもの針箱が寄り添うように現れたのです。
「何も縫えない私に、この針箱をどうしろというの!?捨てるの、どうするの!?」とため息をつきながらお婆ちゃんの針箱の糸を手に取った時のことです。裏返すとそこに「光子 キモ」「貴ちゃん キモ」と、小さくか細い文字で書か れていました。「キモ」とは着物という意味でしょう。大阪のお婆ちゃんは、家族みんなの着物を縫う最後の世代だったんだ。失って初めて知る現実、鉛筆の文字、その確かな手仕事の証に「私が今、私たちの世代が今、この愛を受け継がなければ、人の手仕事全てが途絶え、捨て去ってしまうことになるのかもしれない!」そんな衝動 に駆られ、この展覧会を思いつきました。
「母なる無償の愛」に包まれ、守られ、自然と共に生き抜いてきた人間のはずなのに、どうしてこの経済競争に明け暮れたたった100年で、地球までもボロボロにしてしまうような事態なってしまったのでしょうか!? 佛立ミュージアムの皆さんとの素晴らしいご縁を力に「何よりも大切な手仕事の力」を日々の生活に呼び込 み、再び「母なる自然と共に歩む」ことのできる心豊かな未来を創るため、ここに 「母 TSUNAGU 未来 展」を開催いたします!
令和元年 吉日 白井貴子
【白井貴子】
ミュージシャン&アーティスト 1959年神奈川県生まれ。中学・高校時代を京都で過ごす。1981年デビュー。84年『Chance』のヒットを機に「ロックの 女王」と呼ばれ、女性ポップロックの先駆者的存在となる。2014年フォーククルセダーズの作詞家で精神科医のきたやま おさむ氏より「きたやま作品を歌い継ぐ歌手」に抜擢され、共作の新曲を含むアルバム『涙河』を発売。「PEACE MAN CAMP 土から平和を育てる」活動も開始!この度の「母 TSUNAGU 未来」展は今年、還暦を迎えた白井の初のミュージアム個展となる。神奈川県環境対し・環境省3R推進マイスター。
祖母、母、白井貴子 三世代が奏でる愛のメッセージ
☆★☆★ 「 母 TSUNAGU 未来展」 ☆★☆★
■開催日時:2019/6/18 ~7/7 10:00~16:00 土日祝 10:00~17:00
休館日/月曜日 (※但し、月曜日が祝祭日及び25日のときは開館、翌日代休。)
■開催場所:京都佛立ミュージアム
京都市上京区御前通一条上る 東竪町110
■料 金:無料
■お問合せ:075-288-3344
■URL :http://www.hbsmuseum.jp