2017夏季特別展 「雪村-奇想の誕生」 – /MIHO MUSEUM
雪村(せっそん)は、室町時代後期から戦国時代にかけて、東国で活躍した画僧です(生没年不明 1490前後-1573以降)。
常陸国(茨城県常陸大宮市)の武家・佐竹氏の一族に生まれましたが、幼くして禅寺に出家し、多くの絵画に接したと考えられています。
五十歳頃から関東各地を遊歴、会津(福島県)から小田原、鎌倉(いずれも神奈川県)では北条氏の持つ中国画や寺院に伝来する作品に学び、独創的な表現を確立していったと思われます。六十歳代半ばから会津、三春(福島県)を行き来しながら、多くの傑作を生み出し、八十歳代後半まで衰えぬ筆力で描き続けました。
雪村が生きた時代、画は中国画を手本にするのが当然でした。しかし、雪村の描く人物画や山水画は、伝統的な様式をはみ出して、破天荒でドラマティックなものが多く、若冲、蕭白、芦雪、国芳などに評される「奇想」の端緒を、雪村に位置付ける所以はここにあります。一方、動植物を題材にした作品は、写実的で、生き物に対する慈しみや、細やかな感性が感じられ、変幻自在ともいえる作風を持っていたのです。
雪村の生涯は謎が多く、独創的な画風をどのように築いていったかははっきりしませんが、関東・東北の諸大名家に多くの作品が伝わることから、当時高い評価を受けていたことは間違いありません。また、尾形光琳(1658-1716)は雪村を好み、その画を丁寧に模写し、雪村が使ったといわれる石印まで所有していました。近世には狩野派の絵師が雪村画を粉本(手本とした模写)として継承し、近代日本画の父と称される狩野芳崖(1828-1888)や橋本雅邦(1835-1908)は雪村作品をいくつも模写して独自の表現を研究しました。
本展覧会は、海外からの里帰り作品を含む雪村の主要作品約80件に、雪村から大きな影響を受けた後代の関連作品約30件を加えた、過去最大規模の回顧展となります。知られざる戦国の画僧・雪村の魅力をどうぞお楽しみください。※会期中展示替えあり
同時開催
開館20周年記念特別企画 「古代オリエント美術の愉しみ
― エジプトから中国まで ―」(南館 中国・西域展示室)
夏季特別展
☆★☆★☆ 「雪村-奇想の誕生」 – ☆★☆★☆
■開催日時:2017/8/1~9/3 10:00~17:00
休館日/月曜日 ※ただし3/20(月)は開館、3/21(火)、5/13(土)、5/14(日)休館
■開催場所:MIHO MUSEUM 南館 中国・西域展示室
〒529-1814 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
■料 金:一般1100円 高大生800円 小中生300円
■お問合せ:0748-82-3411
■U R L:http://mihojp/