ニッポンのニッポン ヘルムート シュミット
24歳で初めて大阪の地を踏んで間もない頃、スイスのティポグラフィシェ・モナーツブレッテル(TM)誌の編集長より手紙を受け取った。タイポグラファの目を通して見た日本のフォルムや暮らしの中の道具といったものを、紹介する記事を毎月連載してみないかという誘いであった。記事を書くということは、道具にふれるだけでなく、道具の作り手にも会う機会を与えてくれた。
このシリーズを私は「Japan japanisch」(ニッポンのニッポン)と呼ぶことにした。というのは、私自身が理解している日本、すなわち、かつて存在した、そして今も存在している日本、さらにこれから発見されるべき日本を伝えたいと思ったからだ。この記事で使ったモノクロ写真は、僅かな例外をのぞいて、カメラマンの友人達と撮影したものだ。
1969年、エミール・ルーダーから手紙を受け取った。-「TM誌の記事はすばらしい。日本滞在で貴君はなんと洗練されたことか、私にはよくわかります。」40年以上の時を経て、記事は新しい命を授かった。「Japan japanisch」は2012年に朗文堂より独・英・日本語で出版された。京都dddギャラリーでの展示「ニッポンのニッポン」は、この本をきっかけに企画された。展示に関わってくださった全ての人と、とりわけ日本―変わることなく刺激を与え続けてくれる国―に感謝を捧げたい。 (ヘルムート・シュミット)
また、展覧会に併せ、『gggBooks-119 ヘルムート・シュミット』の刊行も予定しています。
作家略歴/ヘルムート シュミット
1942年オーストリア生まれ。西ドイツで植字工従弟期間を終了後、1960年代、スイスのバーゼルスクールで、モダンタイポグラファのエミール・ルーダーのもとで学ぶ。1970年代中頃、西ドイツで社会民主党のウィリー・ブラント、ヘルムート・シュミット両首相のための制作活動に携わる。1980年、大塚製薬の医家向け医薬品のパッケージやポカリスエットのアイデンティティの確立。ヘルムート・シュミットは、現在大阪を本拠に、商業デザインの仕事と並行して、自主制作に携わっている。1992年以来、自主制作シリーズ「タイポグラフィック・リフレクション」を発行し、現在11号に至る。また、専門誌「ベースライン」「アイデア」「TM」等への寄稿者である。
著書:『タイポグラフィ・トゥデイ』(1980/2015年)誠文堂新光社発行、『バーゼルへの道』(1997年)朗文堂発行。フィヨルド・ゲイコの編集、デザインによる『helmut schmid: design is attitude』が2006年ビルクホイザー社より発行。
第205回企画展
☆★☆★ ニッポンのニッポン ヘルムート シュミット ☆★☆★
■開催期間:2015/11/9~12/22 11:00~19:00(土曜日18:00まで)
休館日/祝日・日曜
■開催場所:京都dddギャラリー
〒616-8533 京都市右京区太秦上刑部町10
地下鉄東西線 太秦天神川駅1番出口 徒歩3分
駐車場 なし ※公共の交通機関をご利用ください。
■料 金:入場無料
■お問合せ:075-871-1480
■URL :http://www.dnp.co.jp/gallery/ddd/