特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家
円山応挙や伊藤若冲など、個性派画家がしのぎを削った江戸時代中期の京都画壇。その活況のなかで、与謝蕪村とともに「南画の大成者」と並び称されるのが池大雅(1723~76)です。その作品は、寡欲で恬淡、きわめて謙虚だったと伝えられる人柄を象徴するかのような、清新で衒いのない明るさに満ちています。
本展では、大雅の初期から晩年にいたる代表作を一堂に集め、その画業の全体像をご紹介します。あわせて、その人となりや幅広い交友関係を示す資料を通して、当時から愛された人間大雅の魅力に迫ります。さらに、大雅が日本各地を訪ねた「旅の画家」であることをふまえ、彼の旅が絵画制作に果たした役割についても検証します。
大雅の生い立ちと初期の作品
池大雅は、京都銀座の下級役人だった父のもとに生まれました。4歳の時に父を亡くした大雅は、7歳で書を学び始めるとただちにその才能を発揮し、萬福寺十二世・杲堂元昶(こうどうげんちょう)から「神童」とまで称されています。
指墨画─墨を操る魔法の指
20歳代の後半を中心に、大雅は筆の代わりに指を用いて描く「指墨画」を多く制作しています。中国から伝わり、日本でも柳沢淇園らが実践した指墨画は、本来即興性の強い、いわばパフォーマンス・アートですが、大雅は指墨独特の表現に積極的な意義を見出し、それを自身の様式へと取り入れていきました。
大雅と書
7歳の時に「神童」と称されたエピソードが象徴的に示すように、大雅は画家としてだけでなく、書家としてもその名を馳せた人でした。
旅する画家―日本の風景を描く
大雅は、多くの旅を重ねた画家でした。26歳の時、江戸に遊んだ大雅は、そこから塩竈、松島にまで足を延ばし、その美しい景色に目を奪われます。翌年には北陸地方を遊歴したほか、20歳代後半から30歳代にかけて、伊勢や出雲など各地を旅しています。
天才、本領発揮―大雅芸術の完成
大雅の絵画芸術は、40歳頃に完成された自己の様式へと到達します。伸びやかな筆線、デリケートな色彩の扱い、確かな画面構成力など、大雅のキャリアにおいて最も魅力にあふれるのが40歳代以降の時期です。
☆★☆★ 特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家 ☆★☆★
■開催日時:2018/4/7 ~ 5/20 9:30~17:00 (入館は16:30まで)
金・土曜日:9:30~20:00
休館日/月曜日(祝日の場合は開館・翌火曜日休館)
※ただし4月30日(月・休)は開館、翌5月1日(火)は休館
■開催場所:京都国立博物館 平成知新館
京都府京都市東山区茶屋町527
■料 金:一般1500円 大学生1200円 高校生900円 中学生以下無料
■主 催:京都国立博物館、毎日新聞社、NHK京都放送局、NHKプラネット近畿
■お問合せ:075-525-2473
■URL :http://www.kyohaku.go.jp/jp/special/