祇園祭-山鉾巡行の歴史と文化-
祇園祭の山鉾巡行とそれを取り巻くさまざまな文化の魅力を紹介
京の歴史とともに現代まで連綿と受け継がれてきた祇園祭は、京都だけでなく日本を代表する祭礼として名高いものです。絢爛豪華な懸装品で飾られた山鉾は「動く美術館」とも称され、国内はもとより遠く東アジアや中近東、そしてヨーロッパの美術工芸の粋が集結しています。祇園祭に登場する山鉾は、国の重要有形民俗文化財に指定されているほか、「山・鉾・屋台行事」のひとつとしてユネスコの世界無形文化遺産にも登録されています。
また、祇園祭は日本の都市祭礼の典型として、町に暮らす人びととの関わりの中で様々な文化を生み出してゆきました。災厄を逃れる呪符としての効果を期待された粽ちまきをめぐる習俗や、山鉾巡行を控えた宵山よいやまに催される屏風祭などのおもてなしの文化は、祭りを楽しむ人びとの心が生み出した、京都祇園祭を象徴するものです。
今回の展示では、祇園祭に登場する山鉾の歴史や文化の様相に迫ると共に、屏風祭や粽の授与など祇園祭に際して行われる各行事の魅力を紹介します。そして、各山鉾の様相を細密に描いた大作「祇園祭山鉾絵図」も展示し、これを手掛けた故・西脇友一氏の画業にも迫ります。
西脇 友一(にしわきと もかず)と「祇園祭山鉾絵図」
西脇友一氏は昭和7年(1932)11月5日に京都市に生まれ、昭和25年(1950)京都市立美術工芸学校工芸科図案専攻卒業後、丸物百貨店宣伝部、河北印刷株式会社図案部、表現社、株式会社電通を経て、昭和31年(1956)に西脇ビジュアルデザイン研究室を設立します。また昭和41年(1966)から大阪芸術大学で教鞭をとり、昭和48年に教授、昭和62年からはデザイン学科長を務めました。そのほか、昭和42年(1967)に京都デザイン協会の設立に携わり、昭和50年からは理事長を務め、また京都国際工芸センター理事や京阪神自治体のデザイン行政にも多く参画されました。
西脇氏が手掛けた山鉾町の鳥瞰図と31の山鉾の超精密描写により描かれた『祇園祭山鉾絵図』は、およそ10年の製作期間をかけて昭和60年(1985)に完成した大作です。ほかに『葵祭行装絵図』と『時代祭行列絵図』があり、『祇園祭山鉾絵図』とあわせ西脇氏の画業を代表する三部作となっています。
出品リスト
資料名 | 時代 | 員数 | 所蔵 |
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菊水鉾巡行模型 | 昭和46年(1971) | 一式 | 京都府蔵 (京都文化博物館管理) |
月鉾模型 | 昭和時代 | 1基 | 京都府蔵 (京都文化博物館管理) |
『都名所図会』 | 安永9年(1780) | 6冊 | 京都府蔵 (京都文化博物館管理) |
善秋・万秋 筆 「祇園会」 | 明治時代 | 1幅 | 京都府蔵 (京都文化博物館管理) |
楠部 彌弌 作 「祭り」 | 昭和49年(1974) | 1口 | 京都府蔵 (京都文化博物館管理) |
洛中洛外図屏風(松居家本)右隻 | 江戸時代後期 | 1隻 | 個人蔵 |
西脇友一 画 「祇園祭山鉾町鳥瞰図」 | 昭和60年(1985) | 1枚 | 京都文化博物館 |
長刀鉾鉾頭模型 | 昭和時代 | 1台 | 京都文化博物館 |
*都合により展示資料を変更する場合があります。
祇園祭-山鉾巡行の歴史と文化-
- 会 期:2017年6月20日(火)~7月30日(日)
- 休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
※7月24日(月)は臨時開館します。 - 開館時間:10:00~19:30(入室は19:00まで)
- 会 場:京都文化博物館 2階総合展示室 京のまつり
- 主 催:京都府、京都文化博物館
- 協 力:公益財団法人祇園祭山鉾連合会ほか