獅子と狛犬-神獣が来たはるかな道/ MIHO MUSEUM
神社に詣でれば、参拝者をまず迎えてくれるのが一対の狛犬の像である。平素は気にすることもないほど当たり前になっているこの神獣。よく見ると一方の頭に角の有るものが交っており、角の有るものを狛犬、無いものを獅子と区別しているという。
いったいわが国に生息しない獅子がどのようにしてわが神々を護るようになったのか、
なぜ角を有する狛犬が一方に配されるのか?
この展覧会はこの神獣の遥かな源流を求めて、美術工芸に表わされた西方の獅子の姿から始まる。
そこにはまず無敵とも思われる力強い獅子の姿が見えてくる。
これを見れば誰もが獅子はなにものをも打ち負かす強さを備えていると感じるだろう。
しかし一方、負ける姿の造形も古い時代から現れている。
ここでは獅子は子供のように吊下げられ、剣で貫かれている。
これを見れば誰もが獅子を打ち負かす存在に驚嘆し、畏敬の念を抱くだろう。
獅子の毛皮をまとう英雄ヘラクレスを
「あの獅子を倒したもの」と仰ぎ見るように。
「狛犬」は、平安時代初期に記録された寺院の財産目録などに「高麗犬」などとあるが、これは舞楽に用いられる、いわゆる獅子頭、つまり、獅子舞などでその頭部を表す巨大な仮面に似たものをさしている。狛、高麗は、韓半島三国時代の高句麗などを表す異国を意識させるもので、「狛犬」も、いわば異国風の神秘なる守護獣ということなのであろう。であれば、みな同じような形をし、個性などないと思われるかもしれないが、各時代のトレンドにより、様々に表されてきた。
今回の展覧会に出品される獅子と狛犬の精鋭に、何が見出せるのか興味深々である。
■開催日時:2014年9月2日~12月14日 10:00~17:00(最終入館16:00)
休館日 / 毎月曜日
■開催会場:MIHO MUSEUM
滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
■入館料 :一般1100円 高大生800円 小中生300円
■お問合せ:MIHO MUSEUM 0748-82-3411
■URL :http://miho.jp/