浅井忠の眼―パリの街角を飾ったポスター―
浅井忠は、1902(明治35)年に京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)の図案科教授として着任しました。洋画家として知られる浅井ですが、1900年のパリ万博を機に2年間フランスに留学し、そのとき目にしたアール・ヌーヴォーに興味を示し、京都へ移住すると図案への関心を強めます。
本展では、京都工芸繊維大学美術工芸資料館の協力を得て、京都高等工芸学校図案科の教材用に浅井忠などがパリから持ち帰ったポスターの数々が展示されています。ロートレックやシェレなどによって賑わった19世紀末のパリのポスターデザインを楽しめます。
浅井忠
江戸、1856(安政3)−京都、1907(明治40)
明治政府が初めて創設した美術学校、工部美術学校でイタリア人の教師フォンタネージに本格的な洋画を学びました。フォンタネージはバルビゾン派に影響を受けた画家で、浅井は彼を通じてバルビゾン派の自然や人間へ共感するような眼差しを体得していきました。フォンタネージの帰国後は、明治洋画の揺籃期にあって、緑と茶褐色を基調に農漁村の風景を詩情豊かに描き上げるスタイルを築きます。40歳を過ぎて東京美術学校教授であったとき、パリ万博を機にパリへ官費留学を遂げます。約2年間の滞在中、フランスの明るい光線に刺激を受け、開放されたかのような精神的高揚の中で、輝くように光に溢れた油彩画と、柔らかさと的確な明暗の水彩画を描きました。帰国後の晩年は京都に移り、パリで見聞きしたアール・ヌーヴォーの影響を受けた工芸デザインに取り組みました。同時に後進の指導にも尽力し、安井曾太郎や梅原龍三郎ら数多くの洋画家を育てています。
■講演会
1月25日(土)
潮江宏三(京都市美術館館長)「印象が感じたヨーロッパの風」
2月23日(日)
北奥耕一郎(写真家)「写真家が見たヨーロッパの街角」
3月1日(土)
並木誠士(京都工芸繊維大学美術工芸資料館館長)「パリと浅井忠 -京都高等工芸学校
の教材から-
■ミュージアムコンサート
3月8日(土)
高田泰治フォルテピアノ演奏会
入場料=2,000円(要予約) 時間=18:30 場所=2階展示室
■開催日時:2013/12/4~3/30 9:30~17:00
■開催場所:京都府立堂本印象美術館 新館
京都市北区平野上柳町26-3
■料 金:一般500円 高大生400円 小中生200円
■お問合せ:075-463-0007
■URL :http://insho-domoto.com/