権力の荘厳~大広間に描かれた鳥と巨松~/二条城
徳川家康が慶長8年(1603)に築城した二条城は,三代将軍家光によって,寛永元年(1624)から寛永3年(1626)にかけて改修が行われました。現存する二の丸御殿には,改修時に,狩野探幽(1602-74)率いる狩野派一門によって描かれた障壁画が2000面以上伝えられ,そのうち1016面が絵画として重要文化財に指定されています。
「築城400年記念展示・収蔵館」は,二の丸御殿の指定障壁を恒久的に保存し,公開することを目的として,平成17年(2004)10月10日に開館し,今年で開館10周年を迎えます。
これを記念して,12月には,名古屋城障壁画を二条城障壁画とともに展示する「開館10周年特別展示~尾張と京みやこの《桜花雉子図》」の開催を予定していますが,このたびは,特別展示のプレイベントとして,「権力の荘厳~〈大広間〉に描かれた鳥と巨松~」と題し,〈大広間〉一の間,二の間,四の間の障壁画を展示します。将軍と昇殿者との公的な対面の場であった〈大広間〉。その障壁画は,金箔地を背景に,巨大な松と,その周囲に鳥たち、一の間は錦鶏鳥,二の間・三の間は孔雀,四の間は鷹を描きます。
錦鶏鳥や孔雀たちの羽色鮮やかな美しき姿態,あるいは,鷹の堂々たる勇壮な姿と,床ゆかから天井まで伸びる巨大な松の組み合わせは,将軍との対面の場を,厳かなものに演出する,「荘厳」として機能したことでしょう。
今回展示する障壁画のうち,四の間の《松鷹図》は,戦国武将が活躍した桃山時代の絵画様式が見られることから,制作当時,既にベテランであった狩野山楽(1559-1635)の作という説があります。一方,一の間の《松錦鶏図》,二の間の《松孔雀図》は,後に巨匠と呼ばれる狩野探幽25歳時の作とされ,徳川幕府の統治が完成した,新たな時代の絵画様式の萌芽ほうがを見ることができます。桃山と江戸という二つの時代の絵画スタイルを,ぜひ見比べていただきたいと思います
開館10周年特別展示
☆★☆★ 権力の荘厳~大広間に描かれた鳥と巨松~ ☆★☆★
■開催日時:2015/10/1~11/29 9:00~16:45
■開催場所:元離宮二条城「築城400年記念 展示・収蔵館」
京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
■料 金:入館料/小学生以上100円 ※別途入城料/一般600円、高中生350円、小学生200円が必要
■お問合せ:二条城事務所 075-841-0096
■U R L:http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/