映画をめぐる美術 ―マルセル・ブロータースから始める/京都国立近代美術館
詩人として出発したベルギー出身の芸術家マルセル・ブロータース(1924-1976)は、1964年頃から美術の領域に身を置き、言語とイメージの関係を扱ったオブジェや写真・短編映画の制作、また公開書簡や出版などの著述活動、さらに美術を取り巻く権威や制度を批判的に検証する虚構性に満ちたプロジェクトなど幅広い創作活動を展開し、戦後美術の転換期に大きな足跡を残しました。
仮面を付けたブロータースが手にしている書物『映画の発明1832-1897』(ジョルジュ・サドゥール著、1946)が示すように、ブロータースにとって映画は重要な表現方法のひとつであり考察対象でした。特にブロータースが映画を「書く」ための方法として位置づけたことは、これまで「視る」ことへ主に意識を傾けてきた映像表現に対して「読む」という視点を改めて強調した、と言えるでしょう。
時にユーモアを交えながら言語とイメージの関係を根源的に問うブロータースの実践は、後進の世代の美術家たちに大きな影響を与えて続けており、特に写真やヴィデオ、インスタレーションの手法を用いた表現が急増した1990年代以降の美術動向を理解する上でも、有効な手がかりとなるように思えます。
~「映画をめぐる美術」関連イベント~
連続アーティスト・トーク 9月7日(土)午後2時より午後3時30分まで
金曜夜の上映プログラム
9月13日(金) 午後7時より8時まで | 田中功起《a piano played by 5 pianists at once (first attempt)》(2012) |
9月27日(金) 午後7時より | ドミニク・ゴンザレス=フォルステル《De Novo》(2009)ほか |
10月11日(金) 午後7時より8時30分まで | ミン・ウォン《Angst Essen / Eat Fear》(2008)ほか |
会場:京都国立近代美術館1階講堂 定員:先着100名 要観覧券
(当日午後5時から1階インフォメーションにて整理券を配布します)
※詳細は後日ホームページにてお知らせします
■開催日時:2013/9/7~10/27 9:30~17:00
休館日/毎週月曜日(但しただし9/16・23・10/14は開館、各翌日休館)
■開催場所:京都国立近代美術館 京都市左京区岡崎円勝寺町
■入 場 料:一般 850(700)円 大学生450(350)円 高校生以下 無料
※本料金でコレクション展も鑑賞可
■お問合せ:075-761-4111
■URL :http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2013/399.html