長谷川等伯が61歳に描いた涅槃図と光悦作庭の巴の庭
春と秋に恒例となった長谷川等伯筆の本法寺佛大涅槃図(重要文化財)の特別公開の涅槃図とは・・・
東福寺(吉山明兆筆)、大徳寺(狩野松榮筆)とともに京都三大涅槃図のひとつである。
涅槃会法要で東福寺の公開は幕を閉じたが、本法寺なら公開がされている。
4月15日までの1ヶ月間、「佛大涅槃図特別展示」で公開され、3/23には「春季彼岸大法要」が営まれる。
普段は涅槃図の実物大の写真複製がかけられているが、特別公開中は勿論実物である。
長谷川等伯が61歳に描いた涅槃図(重文)は精細な筆致で、狩野派に対抗しての画風の創造をした気迫が伝わってくるが、いかに等伯といえど、見たことのある動物と見たことのないであろう動物の描き方に、精緻さが歴然と表れていることがわかる。(例/コリー犬とらくだ)
縦10m横6mにおよぶ濃彩色の鮮やかな色を残し、どうみても四百年前の作品とは思えない。
また、この図の表装は生地ではなく描かれているのである。(描き表装)
表装にあたる部分の端を見ると絵筆の後が伺える。
涅槃図が掛けられた涅槃会館の吹き抜けの2階に上ると、
横臥した釈迦の表情を間近目前で眺めることができる。
等伯は26歳で死んだ子供の追善のため に、
この涅槃図を描いた<慶長四年(1599)>といわれている。
拝観されると巴の庭の縁に座すことができる。
江戸時代初期の書家、陶芸家として著名な本阿弥光悦の手になる造園である。
この縁に座し、春の陽射しを浴びる粋狂はたまらなく贅沢である。
この頃の境内は、春の陽射しに桜の華やぎもお楽しみいただける。是非、お奨めしたい。
本法寺
京都府京都市上京区堀川町寺ノ内上東側
075-441-7997