祇園祭還幸祭/とうとう牛頭天王かお還りになる。
「祇園祭も終わりましたな。」と、大阪からの来客者の挨拶である。
「とんでもおへん。山鉾巡行が済んだだけですがな。」と、前祭(さきのまつり)と後祭(あとのまつり)の説明をひとしきりする。
「まぁ、お帰りに軒先の祭提灯と献酒の貼り札を見ておくれやす」と、祭話を切りあげ打ち合わせに入る。
来客の度にこんな繰り返しの連続で24日の後祭を迎える。
後祭は昼の山鉾巡行と夜の神輿のおかえり(還幸祭)が当たり前であった。前祭と同じ態様である。
予断になるが、山鉾からチマキは投げられ取り合いに熱くなったものである
後祭から山鉾が抜けても、花傘巡行として女性と子供達の手で繰り広げ、後祭の巡行の火を消さずに継承されていることに、ただただ頭が下がる思いである。
その純で下向きな御霊会への町衆の思いは、必ずや牛頭天王に届いているに違いない。
いよいよ還幸祭の日となった。
午前10時、花傘巡行の行列が祇園石段下を出発。
八坂神社西の楼門に掛けられた行事札の文字が京の一日を示し、風に棚引く朱の幟旗が京の夏を謳う。
先祓に氏子町の子供神輿が先導し、花傘巡行旗を先頭にまず神饌行列・花車・祇園太鼓などと続く。
巡行は四条河原町を御池通へ、寺町御池から四条御旅所を経由して、正午には八坂神社へ参内。
午後4時、四条お旅所前の歩道には観衆の人垣ができている。
寺町通に豊園真榊・神宝列が列を整え、
騎乗の久世駒形稚児が中御座神輿の前を先導する。
夕刻5時過ぎには中御座神輿より順に発輿、氏子域を練り八坂神社へとお還りになる。
午後7時半又旅社にて奉饌祭を執り行ない、三座は三条通から寺町、四条通を経て、
午後11時本殿還幸祭が行われ、三座の御霊遷しとなる。
深夜0時、舞殿の神輿は神輿洗いの日を待つ。
今日が祇園祭還幸祭である。