魔界怨霊と風水
神仏と怨霊の数は正比例するのか
京都を魔界呪術都市とラベルを貼る原点はどこにあるのだろうか。
東山の展望台ですすり泣きの声が聞かれるからなのか。
その類(たぐい)の話は枚挙に暇(いとま)がないが真偽は様々である。
小生は暗闇も、ものの化も、人の恨みも未だに怖い。そして、怖いから認めたくない。しかし、京都を舞台とした魔界話の出版物は後を絶たない。また、これらを怖がる歴史の方が圧倒的に長いというのは事実である。
とすれば、その歴史は平安京遷都に因果関係の原点があるのではないだろうか。
そもそも、壬申の乱以降の皇位争いには魔界怨霊の火種は蠢(うごめ)いており、平安京遷都に至って如実になったといえる。
とき785年、天皇不在の長岡京で新都造営の最高責任者である藤原種継の暗殺事件が起こった。
桓武天皇はすぐさま長岡京に戻り事件の関係者を処罰。
この時、天皇の弟の早良親王も位を廃され淡路へ流罪、無実を叫びながら食を絶ち絶命した。
その後、天皇の周囲では、生母や后妃(こうひ)が亡くなり、皇太子となった安殿親王までもが病気がちとなる異変が続いた。
この暗雲の怪奇さに天皇は長岡京より平安京への遷都を決意。
「永代の京となれかし」と西安に習い、「四神相応(しじんそうおう)の思想」や「鬼門封じ」などを、徹底して平安京に施した。
このことは、暗殺の黒幕とされた早良親王幽閉後の憤死が、桓武天皇の怨霊への恐れの源となっていたことは明白である。つまり、弟、早良親王の呪いから逃れるが如くの、平城京よりの再遷都との見方ができる。
こうして、平安京は中国風水地理説による理想の地として、葛野郡宇多村を選び、遷都された。
「四神相応」の思想では、気は神秘的エネルギーを生むと考えている。
その気が散逸せず充満する地勢が吉相の地で、北に父母山(玄武)、東に青龍砂、西に白虎砂、正面の南に朝山・案山(朱雀)の四神獣が揃う地を、中国では四神相応の地とされていた。
それに習うと、すなわち、平安京の北に聳(そび)える洛北の山々の峰からの気(龍脈)は、大内裏の真北にあたる船岡山を通り、京に入り込む。
東の鴨川、西の御室川は環濠都市としての城壁の役割をなし、かつ、その気を水の如く運ぶ。
南の地には巨椋池という沼地が開け、西には山陰に続く長い道も開けており、東に向かって人が往来する。
選ばれた宇多村は、このように四神相応の地に符合する立地にある。
つまり、この地が、京の四方から降りかかる災厄を鎮め、守護する四神獣(東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武)が住まう正に吉相の地であると考えられたのだ。
そして、「鬼門封じ」である。
つまりは、御所北東の鬼門である比叡山に最澄をもって延暦寺を建立。
そして、京の外から内側の大地の安定をはかるべく、「一切経(大蔵経)」を東西南北の岩倉の巨石の下に埋めた。
更に、平安京の正門となる南境に羅城門を建て、楼上には毘沙門天像を置き見張りの役割を目論み、羅城門を挟んだ両脇には、国家鎮護の寺である東寺と西寺を建立した。
寺院建立だげではない、神社の造営にも拍車がけられている。
伝来呪術陰陽道と古神道の力をも合体させ、魔界封じの結界を張りめぐらすべく、神社は更に増やされ、京の四方に方位神である大将軍神社を置いた。
加えて、
鬼門(北東)延暦寺との方位線上には上御霊神社、狸谷不動尊、幸神社、下鴨神社、上賀茂神社、貴船神社、鞍馬寺と、徹頭徹尾で鬼門封じの造営が行われた。
勿論裏鬼門(南西)には大原野神社、城南宮を配し、巽(南東)には剣神社、乾(北西)には愛宕神社を愛宕護山大権現とし、完全なバリアが構築された。
これほどまでに京をガードする由縁はただひとつ、血で染められた皇位継承争いに関わる、怨霊の恐怖以外の何ものでもないことに間違いない。
神仏と怨霊の関係が正比例しているとすれば、千年の都平安京は魔界呪術都市として建設された都市ということに他ならないのではないか。
※青龍の青は旧漢字です
壬申の乱 (飛鳥の扉)
http://www.asuka-tobira.com/jinshin/kantan.htm
天皇系図 (歴史ネットワーク)
http://www.hinet.jp/jiten/keifu_tennou5.htm
夢幻のかなたに・早良親王
(王様の楽園)
http://www.geocities.jp/rois_77/outo-m-sawara.htm
ますます日本!
(増田剛三)
http://masmas.jp/kkks/Chapter5.html
風水の世界・風水体感記(地) (今 井 雅 晴)
http://www9.wind.ne.jp/imai-a-a/itao/file8/8-05.html
日本の風水都市を調べる (楽ちゃんの風水学入門)
http://homepage2.nifty.com/raku-design/4shou02.htm