京の旅 / 十三詣りに桜茶・桜餅
おいしい桜餅おひとつどうぞ
桜の季節には思い出が沢山ある。そのひとつが十三詣りだ。
思春期に両親と闊歩するなどという気恥ずかしい想いの中、法輪寺に連れていかれた。
帰り道に立ち寄った渡月橋の袂の茶店、あのとき口にした桜餅が美味かった。
そして、しょっぱい味のする桜の花の入ったお茶が不思議だった。
薄紅色に開いていたあの花を食べようとして、笑われてしまったことを覚えている。
京都では、数え年13歳になると、もう立派な大人なのである。
武士の「元服」が15歳であるように、公家の「十三詣り」は「成人式」を意味している。
成人の儀礼として法輪寺に詣り、十三歳の厄難を払い、幸福や知恵を授かるよう「虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)」に一代開運を祈願する習わしである。
これが人生最初の厄年の厄払いだったわけだ。
虚空蔵菩薩の結縁の日が4月13日で(旧暦3月13日)あることから、この日はとりわけ参詣者が多い。無尽蔵な知恵・学徳・福徳を備えられ、与えてくださる虚空蔵さんは、右手に「知恵」の剣、左手に「福徳」の如意宝珠を持ち、頭に五知の宝冠を戴き、蓮華座に座られている。
ここで、ご祈祷を受けるわけだが、祈祷の前に、好きな漢字一文字を筆にて書いて奉納する。この十三詣りは別名「智恵もらい」とも呼んでいる。
また、「本身祝い」とも呼ばれ、この歳より「本裁ちの着物」がこさえられ着せられる。
七五三の祝着を作るときに、三歳なら「三つ身」、七歳なら「四つ身」で仕立てたわけだが、ここで「本身仕立て」となるわけである。
娘のときは、洋服でよいという娘の言葉を聞き流し、習わしに従い、はじめての本身の振袖を作った。
参詣の帰り道での渡月橋の上では、「振り向いたらあかんえ、ほんまにあかんえ お山の桜を見ておきやす」と母に言われたのを覚えている。
後を振り返ると、虚空蔵さんに授かった智恵を返さねばならないという言い伝えがあるからだ。
「あの茶店で、おいしい桜餅食べさせてあげよ。な。」本気でうしろを振りむかさないでいたかったのだろう。
十三詣りは別名「智恵もらい」とも呼ばれ、長く信心されている。
さて、あの桜餅の茶店はどれであったのだろうか。
この季節桜餅を出しているお店が嵐山商店街では10軒を超える。
年中定番として販売している嵐山桜餅ご三家というと、天竜寺を超えて北西側「嵐山さ久らもち 鶴屋寿」、渡月橋北西たもと「本家櫻もち本舗 琴きき茶屋」、天竜寺向「嵐山桜餅専門店 稲」である。
渡月橋の袂であったから、「本家櫻もち本舗 琴きき茶屋」ということになるのか。
塩漬けされた桜の葉に包まれた桜餅と桜茶だったように記憶しているが、漉し餡で包んだ道明寺餅と桜餅とおうすのセットが今は出されている。
ここではなかったのだろうか。
古くは本尊虚空蔵菩薩の最もご縁の深い旧3月13日(現在の4月13日)に参詣するのが一般的でしたが、現在では十三参り参詣期間を、春は3月13日〜5月13日(4月13日を中日とした一月間)、秋は 10月〜11月とし、お参りされている。
嵯峨嵐山 虚空蔵法輪寺
https://www.kokuzohourinji.com/
桜茶 (OCHAO)
http://www.ochao.com/selection/greentea/sakuracha.html