京の旅 / 壬生さんのカンデンデン
笑いの原型ここにあり
近頃は、お笑い、物まねなどが人気を博しバラエティー番組が多く、どのチャネルを捻ってもお笑い芸人さんを見ないことがない。
番組司会も芸人さんが主流で、京都出身のオセロも人気があるようだ。
お笑いといえば、古くから京都には猿楽、狂言というものがある。
大蔵流狂言師茂山千五郎家の方々も、TV番組出演に留まらすコマーシャルにも出演されているのが、よく目に留まる。
狂言界も大衆化してきたのか、何かと話題を振りまいている和泉流自称20世宗家和泉元彌さんは、ドラマに格闘技に納税にとニュースが騒がしい。
笑いの気質は異なれ、いずれも滑稽であり、面白い。何はともあれ、笑いはいいものだ。笑う門には福来ると言われるのだから。
4/21〜4/29の間、毎年壬生寺(みぶでら)では通称「壬生狂言 春の公開」がある。
三十番組もあるので、是非見ていない番組に足を運ぼうと強く思っている。
これだけ世に笑いが溢れていても、小生はまだまだ笑いに飢えているということなのだろうか。
さて、重要無形民俗文化財「壬生大念佛狂言」というものが、京都では「壬生さんのカンデンデン」と呼び習わし、親しまれている。
「カンデンデン」と呼ばれるのは、打ち鳴らされる鉦と太鼓の音を追うと、「カン・デンデン、カン・○ デン」と聞こえてくるからだ。
祇園祭の「コンチキチン」と同様の擬音語である。
この鉦と太鼓の音が鳴り響いてくると、小生は心揺さぶられる。
狂言は今風に簡単に言うとパントマイム(無言劇)である。
ルーツは猿楽(さるがく)の中の滑稽な物まね芸を指して「狂言」という芸能が生まれたと聞く。
江戸時代に家元制度を取っていた三流派で、現在も残るのは大蔵流と和泉流であるが、室町時代より有力寺社に属し現在も受け継がれてきたものがある。
その一つが、700年もの伝統を持つ壬生狂言だ。
鎌倉時代に円覚上人が仏教を分かりやすく広めるために、身振り手振りで踊ったのが始まりと伝わる民族芸能である。
「壬生大念佛講」の老若男女約40名の講員の人達が伝承上演されている。
重要文化財である大念佛堂(狂言堂)の舞台は、鬼が飛び込むと消える「飛び込み」や綱わたりする「獣台」などがあり、他の寺院のお堂や寺社の舞台ではみられない仕掛けが希少である。同様に、室町時代から伝わる面の数々も見逃せない。
この期間何日に行っても見られるのが、「炮烙(ほうらく)割」だ。
午後一時開演の初番の演目で、節分に奉納された炮烙が、舞台から落とし割られる。その仕草は可笑しくもあり、迫力もある。これで1年の災厄を除き節分
に炮烙に祈願したことが成就されるのだ。
京都古来の芸能である壬生狂言。円覚上人はこの地で10万人の聴衆を集めたことから「十万上人」とも呼ばれたそうだ。
説法をパントマイムに置き換え、ユーモラスに教えを感じとらせてもらえるのだ。スーパーアーティストこの上ないのではないか。
京都の音風景 (カンデンデン)
http://park.org/Japan/Kyoto/culture/otohukei/index.html
律宗総本山 宝憧三昧寺心浄光院 (壬生寺)
http://www.kyoto.zaq.ne.jp/mibu/
壬生村
http://www4.ocn.ne.jp/~mibu/index_m.html
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