京の旅 / 苔か鈴虫 はたまたお酒
酒好きは 切っても切れないお宮さん
四条通を西へ西へと車を走らせると、松尾山を背景に大きな鳥居が見えてくる。
松尾橋を渡ると、阪急電車嵐山線の松尾駅。
その目の前の大鳥居の直前に、これまた大きな、見上げるほどのお神酒徳利が治まっている。
この神社で授与されるお守りは、「服酒守」「販酒守」「醸酒守」の三種である。飲む人、売る人、造る人、それぞれ酒に関わる人毎のお守りだという。
あなたはどのお守りを授かりますか。
西暦701年(大宝元年)創建された京都最古の神社のひとつである「松尾大社」は、お酒の神様が祀られている。
全国の酒造業者は、秋の酒造祈願祭に集い、松尾大社の名水「亀の井」の水をいただき、新米での酒造りに必ず加えるほどに永らく信仰している。
水の都京都にあって、水の違いで味が変わるといわれるお酒の水に、「亀の井」の名水を選び、崇めているようだ。
その松尾大社では、今月22日の日曜日に「松尾祭の発御祭」があり、松尾大社の拝殿回しでは、開花した山吹の傍で威勢よく担がれていた。
そして、七社の神輿(一社は唐櫃)が桂離宮あたりの桂川堤防下に揃い、桂川を船渡御し、河原斎場から三箇所の御旅所に着き、神幸祭を終えた。
21日後の5月13日の還幸祭迄が祭礼期間となるのだが、この期間に新たな催しが四年前より開催されている。
催事「やっぱり日本酒が一番」という日本酒試飲会である。
なるほど、酒の神に間違いない。
毎回厳選された酒、肴が用意されていると聞く。
今年は、大国正宗・福寿・七福神・月桂冠(古酒)などが候補に上がり、「七福神」に因んだ目出度い名前の酒を揃え、陽気に盛り上げる宴となるらしい。
開催日29日の前後両日には、「春のライトアップ」も行われている。
ライトアップにおいては、作庭家重森三玲の名庭「松風苑三庭園」ばかりがご馳走ではない。
桜と入れ替わるように、実に見事に咲き誇る3千本の山吹が、きっと黄金色を見せてくれるだろう。
更に、ゾプラノ歌手吉川真澄さんの奉納演奏も予定され、全席60名限定で予約が受付されている。
全ては美酒。さぞ頬が桜色に染まることになろう。
八坂神社が四条通り東の果てなら、西の果て松尾大社にて、この宵は一献いかがだろうか。
甘党には「抹茶と山吹饅頭」とやらも出店されているからご同伴を。
松尾大社
http://www.matsunoo.or.jp/