京都の狛犬達 / 狛鼠・狛猿・狛鳶
そもそも狛犬って何なん
祭神の守護獣である「神殿狛犬」は元来木製が多いらしい。
一方、参道に寄進された獅子狛犬(参道狛犬)には石材製のものをみることが多いが、木製、銅製、陶製などとその材料は時代毎に様々であったようだ。
ところで、第二次大戦での経済封鎖は、金属の供出を国民に強いた。
お寺の鐘も、橋の欄干も、火鉢も、蚊帳の吊り輪までも供出したと祖母は言っていた。
そして、国家宗教であった神社などの狛犬達も例外ではなかったのだ。
清水寺の仁王門前にある左右とも口を開けた石造の狛犬は、昭和17年の戦時供出でブロンズ製阿吽の狛犬(1911年寄進設置)が無くなり、その代わりに再建されたものである。こうして軍需調達は京都の寺社にも駆け巡ったという。
八坂神社山門前のブロンズ製阿吽の狛犬は、参道にあった他の金属性の狛犬の供出により難を逃れた。大正天皇崩御の年に寄進されたものだそうである。
その先代の狛犬(明治15年寄進設置)は山門を潜ったすぐの石段のところに設置されている玄武・青龍・朱雀・白虎の四神が浮彫りされた台座に載っているものだ。
昭和改元の折、現在のブロンズ製狛犬にシンボルとなる場所を譲ったようである。
このように、京都の金属製の狛犬達も大戦の最中に、その存廃の憂き目を経験していることになる。
八坂神社の境内には狛犬がたくさんあり、その数は京都で一番多いから、一箇所で見比べるには最適のところだ。
変わりどころで素材が陶製のものを挙げると、備前伊部焼で作られた赤茶色の狛犬が五条坂近くの西大谷北側にある「妙見堂」だ。「鳥辺山の妙見」とも呼ばれる日蓮宗通妙寺の別所である。
同じく赤茶色の備前伊部焼の狛犬で、逆立ちをしているという珍しい姿が見られるは、真如堂向かいの黒住教教祖の黒住宗忠を祀る宗忠神社(1862年創建)だ。
吉田山山荘の隣にあたるので、吉田山散策の折には是非ご覧になるに値する。
「おきつねさん」は眷属(けんぞく)とも言われるように「神の使い」である。
従って、伏見稲荷にも「おきつねさん」とは別途に守護獣である狛犬は多数ある。
ただ奥の「お山」にいるので、気が付かれる事は少ない。また、「おきつねさん」の目立ち具合から狛犬と誤解されている方もいる。
守護獣か神使いかの区別がどうも付かないのだが、狛ねずみ、狛猿、狛鳶と呼ばれる珍しい石像が哲学の道沿いにある。
鹿ケ谷の産土神で、創建は平安中期と伝わる大豊神社である。祭神大国主命(おおくにぬしのみこと)を危機から助けたという神話から、阿吽のねずみが鎮座している。境内の日吉社には狛猿、愛宕社には狛鳶があり微笑ましい限りだ。(続く)
清水寺の狛犬 (狛犬探偵団)
http://homepage2.nifty.com/liondog/kuron/tanteidan-top.htm
kyoshiro2005の日記/京の狛犬めぐり 妙見堂
http://61.196.246.67/kyoshiro2005/20051220
京都あちらこちら/吉田山散策
http://piita.exblog.jp/3572464/
伏見稲荷大社 (古墳のある町並みから)
http://www.y-morimoto.com/jinja22/fushimi.html
何処か遠くへ /大豊神社
http://leepi.milkcafe.to/p-tabi/tabi-ootoyojinjya.htm