京の蓮/観蓮会(かんれんえ)
梅雨時はあじさい寺に蓮寺見物が極楽だ
桜のあと、さつき、つつじ、杜若、花菖蒲を楽しみ、今まさに紫陽花が真っ盛りである。
あじさい寺と呼ばれる三室戸寺(宇治市菟道)は梅雨空の晴れ間を縫って訪れる人は後を絶たない。30種10000株の紫陽花が5000坪の大庭園に咲く。
ここでは「幻のあじさい」と呼ばれる「シチダンカ(七段花)」を見過ごすわけにはいかない。
三室戸寺はライトアップもされているが、詩仙堂、善峯寺、梅宮大社など洛中洛外にも紫陽花を求めて人々が集っている。
紫・赤紫・青紫・水色・白などの詩情豊かな紫陽花が、寺社を背景に色とりどりに咲き競っているからだ。
朝方に三室戸寺を訪れたとき、ふと気づいたことがある。
今更の方もあろうが、本堂前に種々の「蓮」の花を見た。
紫陽花もさることながら実によく似合う光景である。そういえばこの時期、桔梗に蓮も花暦に挙げられている。
睡蓮で記憶に残る場所といえば、龍安寺鏡容池に東本願寺の北東の濠。
お寺さんだけではない。
大原野神社にある鯉沢池や、平安神宮中神苑にある蒼龍池でも、睡蓮に出会っている。
蓮や睡蓮も紫陽花に負けず劣らず、白、赤、黄など色とりどりで、別世界を思わせてくれる。
別名「蓮の寺」と称されるのは、右京区花園にある「法金剛院」である。
まさに極楽浄土に迷い込んだように蓮に取り囲まれ、神秘なほどに咲き乱れていると聞く。
平安時代初期天長7(830)年頃、時の右大臣清原夏野の山荘跡に双丘寺(ならびがおかでら)として創建された。
その後天安寺となり伽藍が建立され、荒廃した天安寺を復興する折、鳥羽天皇の中宮待賢門院(たいけんもんいん)の命により「法金剛院」と称し、極楽浄土を模したと言われる「池泉廻遊式浄土庭園」が設けられた。
「関西花の寺 第13番霊場」であり、名勝指定されている回遊式庭園には大賀ハスや即非蓮、王子蓮など約80種類の蓮に出会うことができる。
7月の早朝7時には観蓮会(かんれんえ)が3週間にわたり行われている。
是非訪れてみたい。
そもそも、睡蓮は古代エジプトで花束、首飾りとして使われ、壁画にも残され、神々を祭る際や墓所での祭事に欠かせないものであった。
一方、東南アジアで仏教と深い関わりを持ち、インド、中国を経て仏教とともに伝来した蓮の花。
密教で仏の世界をあらわした曼荼羅には、花びらを8枚持つ蓮が表されており、出生を意味するシンボルとして蓮華が仏伝図には描かれている。広く仏教では極楽浄土の象徴で、阿弥陀如来の連坐が蓮であることを知らぬものはいない。
いずれもの花は、歴史的にも文化的にも尊き花である。
ところが、小生は尊き蓮、睡蓮には縁が薄く、つい蓮根を思い浮かべてしまう。
辛子レンコンも乙なものだし、サクサクとした歯ざわりは大好きだ。
何時ぞや蓮の葉から注がれた蓮酒を、下の茎をストローにして頂いた(象鼻杯)。 その水生植物公園みずの森では、蓮料理や蓮ソフトクリームまで楽しめる。
これでは到底極楽往生できないかもしれない。
因みにレンコンは蓮の地下茎で、睡蓮からは取れない。
京都あじさい寺巡り (善峰寺)
http://www.yoshiminedera.com/ajisai-dera/
蓮の幻想壁紙写真集 (ShudouTanaka.)
http://hasu.syudo.com/indexS.html
法金剛院のハス2005 (京都観光タクシー/堤)
http://ackyoyo.web.infoseek.co.jp/video/00204kyoto_vd16.htm
草津市水生植物公園みずの森
http://www.mizunomori.jp/