京舞 春のをどり
手軽に京の五花街の名入り豆皿を集める法
桜の季節に京都を華やかにしてくれるものに、舞妓さん、芸妓さんの舞がある。
4月1日から30日まで行なわれているのが「都をどり」で、4月1日から16日が「京おどり」、
3月25日から4月7日が「北野をどり」である。
花見もそこそこに、毎週毎週始まる踊り見物に大忙しとなる。
いずれも4000円あまりで観覧できるので、見比べができるこの機会を逃さず、京舞踊を満喫されてはいかがだろうか。
それぞれの舞は、流派も違えば、舞い手も、演目も、勿論演じられる場所も違う。
そもそも「踊り」「舞踊」などと呼称されているが、「舞」は『巫女舞』のように摺り足で舞う神事が起源で、「踊」は『念仏踊り』に見るような浮き足で躍り跳ねるものが起源だと聞き及ぶ。
つまり、「上方舞」に総称される「地唄舞」、「座敷舞」などから発展した「をどり」は、「DANCE」ではないのである。
ところが、「都をどり」は、国際的にも「The Cherry-Blossom Dance」と訳され有名になっている。
華やかな春を告げる「総をどり」が、宝塚歌劇のようなレビュー的であるところに視点を置くと、能書きはどうでもいいのだが・・・。
さて、「都をどり」は、京舞井上流の舞が「祇園甲部歌舞練場(文化庁有形文化財)」で、祇園甲部歌舞会の芸舞妓により、歌舞伎や源氏物語などを題材にして、明治以来のスタイルを踏襲しながらその年の干支や話題にちなみ、新たなる志向で上演され続けている。
五つの花街の「京の踊り」が風物詩となったのは京舞の井上さんの功績と言って過言でないのだ。そもそも、明治の京都博覧会における余興(附博覧)を担当した、「祇園一力の主 九世杉村次郎右衛門さん」と「井上流三世 井上八千代さん」が考案した「芸舞妓の総をどり」が始まりだと聞く。
「伊勢の亀の子踊り」をモチーフにしたという座敷舞からの大展開は、大喝采を浴びたようだ。
それ以降、京のシンボルのひとつに各歌舞練場の踊りがある。
このときご褒美を問われた三世 井上八千代さんは、「今後祗園の舞は井上流だけにしとぉくれやす」と答えたという。
以来、祗園甲部の舞は、座敷も都をどりも「京舞井上流」だけで仕切られている。
次に、「京おどり」は、若柳流と楳茂都流の舞が「宮川町歌舞練場」で、洗練された工夫を用いた粋な雰囲気が評判の宮川町歌舞会の芸舞妓により、1日3回公演が催される。
演目は毎年変わるが、台詞が入るのが特徴で、京の名所、名物が紹介され、最終幕は「宮川音頭」で締めくくられる。
そして「北野をどり」は、花柳流の舞が「上七軒歌舞練場」で、京最古の花街の深い渋さを誇る上七軒歌舞会により、舞踊劇と純舞踊が披露され、定番のフィナーレ「上七軒夜曲」で幕が引かれる。
もし、四月に機会を逸すれば、黄金週間である。
翌5月1日から「先斗町歌舞練場」で「鴨川をどり」が催される。尾上流の舞である。
華やかな芸舞妓たちによる舞踊劇(第一部)、純舞踊(第二部)の二部構成で催される。
こうして、京都五花街の四つの舞は春の麗のうちに終えることになる。
全部を観覧すると、四枚の菓子小皿を集めることができる。皿の裏にはそれぞれ「○○をどり」などと焼かれている。
秋の11月に「祇園会館」へ出向き、祇園東歌舞練会の「祇園をどり」で藤間流の舞を楽しめば、晴れて京都五花街の五枚の小皿が揃うことになる。
都をどり (祇園新地甲部歌舞会)
http://www.miyako-odori.jp/
京おどり(宮川町お茶屋組合)
http://www.eonet.ne.jp/~miyagawacho/index.html
北野をどり (上七軒歌舞練場)
http://www.maiko3.com/
鴨川をどり (先斗町歌舞練場)
http://www.kamogawa-odori.com/
祇園をどり (祇園東歌舞会)
http://www.gionhigashi.com/