冬野菜の横綱 大根/三千院大根焚き
大根役者は千両役者
京都の代表的な漬物のひとつである千枚漬けは一冬に千トンが漬けられるという。
千枚漬けは、昆布と薄く切られた日本一大きな「聖護院かぶら」で漬けられる。
かぶらは大根よりも繊維が細かく、非常にやわらかでなめらかな食感である。
煮込んでも型崩れせず、かぶら蒸しや風呂吹きにするのも旨い。
風呂吹きは大根が主流であるが、冬場には「聖護院大根」に柚子味噌や胡麻味噌が添えられ京料理に使われる。素材の色や持ち味を生かす「白だし」しょう油で、彩り美しく仕上げられた熱々の上品な大根料理である。
大根役者という言葉があるが、大根は千両役者だ。
漬物に、おでんに、田楽に、吸い物の具に、大根煮に、なますに、おろしに、サラダと、実に使いまわしのきく惣菜である。
とりわけ冬の大根となると、霜で甘みを増し、煮るほどに旨味が生まれてくる。
油揚げとも、寒ぶりとも相性が良い。
厚揚げと一緒に煮た大皿に盛られたおばんざい「おだいの炊いたん」は京名物でもある。
最近ではバターで炒めて少しワインをふり、塩をふった「聖護院だいこんのステーキ」も人気を博している。
京の師走の風物詩となる千本釈迦堂の「大根焚き(だいこだき)」は、中風除け祈願で知られ、TVなどで報じられている。
一方立春を迎え、初午の日に行なわれる「大原三千院の初午大根焚き」(平成18年2月10日〜13日)は意外に知られていない。
この期間には「秘仏金色不動尊」が開扉され、不動護摩木供養が行なわれる。
この不動尊は平安時代の智証大師円珍上人の作と伝えられ、「出世金色不動明王」の別名をもち、開運出世祈願に霊験あらたかな仏様と言われている。
この日特別祈祷された大原の里産の大根が炊かれ金色不動堂前広場でふるまわれる。
厳冬の折、声明(しょうみょう)の里大原で、幸先良くあつあつの「大根焚き」を所望されてはどうか。
週末休日は、伏見稲荷大社の初午大祭(2/10)と三千院の大根焚きを予定に組み込まれ、新春に備えられるのが懸命妙案と思われる。
京野菜について (山城屋)
http://www.yamasiroya.net/vegetable/index.php
大根料理レシピ (キッコーマン)
http://www.kikkoman.co.jp/homecook/series/daikon02.html
江戸時代 大根料理いろいろ (江戸料理百選)
http://www.asahi-net.or.jp/~uk5t-shr/cooking-daikon.html
三千院
http://www.sanzenin.or.jp/top.html
伏見稲荷大社 初午詣
http://inari.jp/b_shinko/b01d.html