安部晴明 / 五芒星
晴明桔梗 星のマークは魔を祓うとは
9月26日は陰陽師・安倍晴明(1005年没)の命日で、晴明神社により嵯峨墓所祭が執り行われる。
それに先んじた秋分の日に、安部晴明を祀る晴明神社(上京区堀川今出川下る)では晴明祭が執り行われ、西陣の町には神輿が練る。
堀川一条の「晴明さん」に足を向けた。京都人にとっては、子供が誕生したとき、名前をつけてもらう神杜として参詣されているところだ。ところが、修学旅行生であろうか、女子中高生とおぼしき制服姿が多く見受けられた。陰陽師ブームは覚めやまず言い継がれているのだろうか。
それとも、晴明神社の御霊が呼び寄せているのであろうか。
もし呼び寄せているのならば、その謎に好奇心がかきたてられる。
まず、京都の何れの寺社仏閣を訪れても、晴明神社ほどにインパクトのある社紋に出逢ったことがない。それは他とは全く異質の文様のである。晴明神社の社紋は、ユダヤの象徴ダビデの星である六芒星(ろくぼうせい)と似た「五芒星(ごぼうせい)」で「晴明桔梗」と呼ばれている。
まるで一筆書きで星の絵を書いたときの図柄と同様である。
これが晴明の考案した徐災清浄の祈願呪符の図形で、陰陽道の天地五行を表しているという。社殿や提灯は勿論、様々なものに記されている。
この類の形は日本の家紋・社紋に類似するものは見当らず、その時代においての西洋幾何学的なマークは異様であって、怪奇ささえ覚える。
その晴明桔梗は西洋にあるペンタグラムマと同様のソロモンの星文様と同一であるのは偶然の一致なのか。
また、ダビデの星、ソロモンの封印とされる六芒星と同じ「籠目紋」は伊勢神宮の参道わきの灯篭にも刻まれていたのを見たが、これも小生の謎の一つである。さて、この五芒星は、陰陽道では魔よけの護符として使われるシンボルで、正五角形の五つの頂点は、木、火、土、金、水星を表している。また、外辺で結ばれた隣の頂点は互いに生かしあう「相生」の関係を意味し、一筆書きしたときに出来る内線は、前者の頂点の星が後者の頂点の星に「克つ」関係にあり、終わりなく結ばれる線は常に克ち続けることを意味していると、説いてある。
つまり、五芒星は、終わることのない無限の循環、永遠の生命、永遠の繁栄を表していると教えているのである。
この護符が置かれると、「魔」が入り込んでも、「魔」はその中に捕らえられて、永遠に外に出られないことになるのだという。
五芒星の「芒」とは「稲の先端の事。転じて針先、光の先端」と辞書にある。
五芒星に纏わる理解を深めるために、いくつかの話を羅列してみる。
・六芒星が天空=「大宇宙」を意味するのに対し、五芒星は「人間」という「小宇宙」を意味する。
・自然界において人間の身体の構造や手足の指も含めて“5”という数字、五芒星、五角形は生命体を象徴し、古代から五芒星は「動きと力と知恵のシンボル」と言われている。
・五角形は日本の密教、修験道や西洋魔術においても共通で、魔を祓ったり、場を浄化したり,パワーを発揮するときに使用されてきた。
・五芒星は数学者ピタゴラスのシンボルマークである。紀元前5世紀頃の彼の地の象形と一致する文様である。
あるいは、アメリカ国防総省ペンタゴンの建物も見事な五芒星を描いているが、ここで秘術的魔除け図形とされる五芒星に出逢うとは、更に不思議さが増す。
古今東西の時空を超える、五芒星に対する不可解な信仰は、容易く否定できない真理を持っていると、小生は疑わない。
晴明は、科学者的側面として、陰陽五行説によって天体を観測したり、暦を作成したりすると同時に、式盤により吉凶を占い、式神を操る呪術的側面との二面性を持ち合わせていた。
その晴明が平安時代に五芒星の真理を見抜き、駆使し、現在に受け継がせている事実が、ここ晴明神社にはあった。
祀られている晴明の、その生い立ちは如何なるものであったのか。
安部晴明神社 (大阪 阿倍野)
http://abeouji.tonosama.jp/abeseimeijinja/
晴明神社 (京一条戻り橋)
https://www.seimeijinja.jp/
神紋と社家の姓氏 (家紋ワールド 播磨屋)
http://www.harimaya.com/o_kamon1/syake/index.html
家紋一覧 (京都西陣刺繍館)
http://www.trust-kg.co.jp/public_htm/kamon_top.htm#top