師走に漢字
今年の世相を顧つ、暮れをひた走る
紅葉見も終盤を迎え、散紅葉に冬紅葉となり、師走の足音も聞こえてきた。
「南座のまねき」か「LEDのイルミネーション」か、はたまた「年末ジャンボ宝くじ」か、何で師走の足音を感じるかは、人それぞれであろうが、師走であると感じる人は、日本人としての心の豊かさが残っている人であると思う。
季節感が乏しくなっている現代生活では、とりわけ季節感を求め、京都の歳時記、風物詩に触れることを心がけてほしい。
師走になると、小生は新しい年を迎えるために、今年のことを全て棚卸し、兎も角総仕舞いし、有終の美を飾るべく一区切りできる月にするよう心がけている。そして、改めて、唯々無病息災、家内安全を神仏に祈る。
師走の語源は諸説あるが、一説には農作業の「為果(しは)つ」が訛ったものであるとしている。稲の収穫作業や、もみすり作業の後始末も終わり、農事すべてを「果為つ」する。つまり、事よく為し経て、冬仕度という月だそうだ。
四季のある国の農耕民族の生きてきた智恵に習うなら、各自の生活を省みて、総決算をして終えることは、自然の理に適っている。
総決算といえば、その年の総決算として、すっかり風物詩となったものに、清水寺の「今年の漢字」と呼ばれている行事がある。1995年に始まり14回目となる。
その年の漢字として選ばれる漢字はどんなものになるのか、発表の12月12日まで、小生は興味津々である。
月初めには、一年の報道記事を引っ張り出し、毎月の出来事、世相などで気になる三件のニュースをピックアップし、11ヶ月分33件の表層や真相を漢字に置きか換える。
その漢字を眺め、世相漢字とする一文字をイメージするのである。
清水寺貫主の揮毫で発表される世相漢字は、約10万人からの応募の多数決で決められている。
直近に選ばれた今年の漢字は、3年前が「愛」、一昨年が「命」、昨年が「偽」であった。
自らが決めた世相漢字と発表される世相漢字を見比べ一喜一憂するのも面白いものである。
因みに、この日は「漢字の日」である。
日本漢字能力検定協会が、「平成20年がどんな漢字で表せるか」を一般募集しているので、一度参加されてみてはいかがか。勿論賞金などない、図書券がご褒美。
射幸心を煽る年末ジャンボ宝くじに、一攫千金を狙い、夢を買うのも悪くはないが、自らの一年を振り返ってから買ってもらいたい。
一年を顧みずして、来年を占うべく買うなかれ、既に答えは大方出ているではないか。
確かに、来年がどんな年になるか、誰にも分からない。
ならば、一年を顧みて、今年に事良き結果を残して終わりたいものである。
年末の大掃除やカウントダウンまでは、まだ少々の日にちはある。
今年の漢字 (財団法人日本漢字能力検定協会)
http://www.kanken.or.jp/kanji/kanji2007/kanji.html#linkd
清水寺
http://www.kiyomizudera.or.jp/
京都南座 師走の恒例「まねき書き」(松竹 歌舞伎美人)
http://www.kabuki-bito.jp/news/2008/11/__photo_130.html
京都歳時記 師走 (パールトーン)
http://www.pearltone.com/kyoto/saijiki/saijiki12/n_saijiki12.html
京都歳時記12月 (堤タクシー)
http://www.kyotocity-taxi.com/saijiki12.htm