マンガ文化は京の底力
逆輸入文化でないと真価がわからない京都人
聞けば「倖田来未」は京都に縁のあるお嬢さんだという。
京育ちで、京都精華女子高校在学中にデビューを果たし、卒業後2005年レコード大賞受賞、2006年レコード大賞歌唱賞を受賞し、「エロかっこいい」という流行語まで産みだした。既に全国の若い女性のファッションリーダーで時代を牽引し、ベストアルバムはミリオンセラーを記録し、発売CD売上総額は200億円に達し、今やレコード会社の稼ぎ頭として君臨しているようだ。
東京から全国の皆さんに歌いかけ、一時代を作ったアーティストが京育ちとは嬉しい限りである。
しかし、もっと京都で応援し、騒ぎ立ててやるべきではなかったのだろうか。
有名になってから、「京都出身やで」はいかがなものだろうか。
無名時代にこそ支え続け、同慶の喜びと誇りを共有できる街であってほしいと願う。
逆輸入品でないと買えない日本人と、同じではないところが京都の筈と信じたい。
時代を担い発信する種は、まだまだ京都にはあるのだから。
そこで、ご案内したい朗報がある。是非、京都人として共有して貰いたい。
京都でイベントプロデュース(株式会社マフィアコーポレーション)をしている演出家岩田和博の企画脚色で、彼の友人のぞゑのぶひさの作画によるマンガ本「「神聖喜劇」(幻冬舎刊 大西巨人著)」が、二つもの賞を取ったのだ。
その賞とは、「第36回日本漫画家協会賞大賞」と「第11回手塚治虫文化賞新生賞」である。
漫画家ではない二人が、漫画家の頂点の賞を手中に収めた。見事なまでのダブル受賞も快挙である。
それも、真っ向から戦争と向かい合う軍隊生活の人間像を描いた、重厚で難解な大西巨人の純文学小説を異色のマンガとして練り上げた作品である。
「戦争を知らない子供たち、などとうそぶき、知ろうとしないことが一番恥ずかしい」。と、妥協なき十年間の月日を掛け、全六巻の完成をさせた団塊世代の男2人に拍手喝采である。
ローリンク゛ストーンズなど乱暴なロックンロール好きな彼であるが、Love&Peace世代の魂は死に絶えてなかったのだ。
マンガに疎い小生が知っている歴代の大賞というと、「ドラえもん」藤子不二雄、「アンパンマン」やなせたかし、「風の谷のナウシカ」宮崎駿、「ゴルゴ13」さいとうたかを、これらぐらいであるが、この大賞で「該当作なし」の年度が36回の内7回も
あるではないか。
お手盛りの出版社の行う賞とは訳が違うと、素人ながらにその誉れを確信した。
「制作話を肴に一杯やろか」との彼の誘いに、出不精の小生の足も軽かった。
日頃美山に篭もる彼であるが、釣り上げた岩魚の炭焼きを放出して骨酒(こつざけ)で迎えてやるというからだ。そこには多士済々の個性の強い顔ぶれがあった。
話に花が咲き宴たけなわの中、「神聖喜劇」のストーリーにある人間の滑稽さに、ふと、日本最古の漫画と謂われる「鳥獣戯画(鳥羽僧正著)」が思い浮かんだ。
そして、昨年11月元龍池小学校跡地に「京都国際マンガミュージアム」が開館したこと。
東京都知事がハリウッドを視界に入れた「東京国際アニメフェア」を盛り立てアニメの産業化を目論んでいること。
これらが、ほろ酔いの中でフラッシュバックしてきた。
何かの教示であろうか。
日本漫画家協会賞大賞の資料に目をやると、第1回(1972年度)大賞「動物漫画百科」ヨシトミヤスオとある。そして、第5回(1976年度)特別賞「京都精華短期大学美術科マンガクラス作品集」とあった。
京都CF!本誌の裏表紙は、永年の間、ホリバ製作所様の特別支援により、このプロジェクトによる環境漫画広告を企画連載している。
小生には、まだ脈絡はつけられないが、京都再生への啓示に思えてきた。
しかしながら、京都文化祭典07のイベントプログラムには、伝統文化の継承やノスタルジーに浸るメニューは組み込まれていても、先駆的な文化芸術を全国に発信できる装置には程遠い。マンガ文化などの世界に向けての発信が視野にはいるのはいつのことだろうか。
社団法人日本漫画家協会
http://www.nihonmangakakyokai.or.jp/
大西巨人
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/onishi/kyojin.htm
手塚治虫文化賞
http://www.asahi.com/tezuka/index.html
鳥獣戯画
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/f_041120.htm
鳥獣戯画 日本いろは辞典
http://iroha-japan.net/iroha/C06_art/05_chojugiga.html
京都国際マンガミュージアム
http://www.kyotomm.com/
京都文化祭典07
http://www.k-af.com/