早咲き梅
花も実もある 梅の香りは良い
梅の開花情報が賑わしい。
梅の花は桜と違い一ヶ月も咲いていてくれるのだから、いつ出かけても楽しめる。今から準備万端に予定を立てておきたい。
しかしながら、桜並木や桜の名所とは口にされるが、ここ京都にあっても梅並木を見たことがないし、梅の名所も桜ほどでない。
どうしてなのだろうか。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という程だから、剪定の手間が掛かりすぎる梅を多くの本数に植栽しないことは想像がつく。
また、古木になるほど栄養を与えてやらないと衰弱するから厄介だともいえる。
更に並木にするには樹形が桜と比して小さすぎるように思う。
しかるに梅並木にお目にかかれないという訳なのだろう。
梅は桜以上に愛情をかけてやらないと綺麗に生きられない花なのだ。
すると、梅の花で人を集めるほどの梅ともなると、さぞ丹精がこめられているものとなるはずだ。
ならば一本の木の梅見の妙は、通の花見といえるではないか。
紅白色にめでたさを持ち、風水にある金運色の黄色までもある。
八重に枝垂れもあり、桜に劣るものはないばかりか、香り豊かに甘く咲き誇る梅は桜の比ではないとも思える。
さて今年は、今頃堅い蕾であるはずの梅見の場所もすでに開花してくれている。
嵯峨の清涼寺に深紅の梅がある。樹齢350余年の軒端梅の老木である。五枚の花弁が今年も少なげながら花を咲かせてくれたようだ。
参道、仁王門、阿弥陀堂、多宝塔のいずれの場所でも各々の梅が配され、楽しむことができる。
嵐山に向かわれるのなら、天龍寺塔頭である弘源寺の境内にある白梅を抑えて置かれるのが良いだろう。枯山水庭園「虎嘯(こしょう)の庭」の特別拝観にはまだ間があるので残念ではあるが。
3月中頃には程遠いのに、境内のあちこちが見頃となっているのは東山七条の真言宗智山派総本山智積院てある。
大書院前に利休好みと伝わる池泉観賞式庭園を持ち、数多くの伽藍が立ち並び、その随所でほのかに甘い香りが漂い、自然と心が和んでくるというものだ。
この時期、寺院所蔵の長谷川等伯の国宝「金碧障壁画」も、「楓図」、「桜図」、「松と葵の図」、「松に秋草図」なども、この梅見の香りには敵うまい。
その他見所といえば、北野天満宮の梅林 京都御所、二条城、梅宮大社、随心院、常寂光寺、歓修寺、府立植物園、青谷梅林と、あげられる。どこに行かれても裏切られることはないが、それぞれの妙を存分に是非見つけ出してもらいたい。
お祭り気分でのお楽しみなら、2月25日には北野天満宮の「梅花祭」もある。
清涼寺
http://cckyoto.web.infoseek.co.jp/video/002006haru_sei.htm
天龍寺塔頭 弘源寺
http://kogenji.jp/
智積院
http://www.chisan.or.jp/sohonzan/
北野天満宮 梅苑公開/梅花祭
http://www.kitanotenmangu.or.jp/news/05.html
京都・滋賀の梅情報(京都新聞社)
https://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/ume/index.html