バレンタインも縁結びの人
縁結び古今東西
女性が男性にチョコレートを贈る「Saint Valentine’s Day」は日本独自の習慣である。
この習慣は、1958年東京都内のデパートで開かれたバレンタイン・セールで、チョコレート業者が行ったセールスキャンペーンから始まった。 女性から愛を告白する習慣がなかった日本では、唯一告白できる日と持て囃され、’70年に一気にブーム化し現在に続いている。セールスに利用された西洋行事の輸入版である。
今やセールスプロモーションの継続的成功の代表的サンプルとなり、国民的行事になっている。
日本を習った韓国でも、ホワイトデーとともに同様の習慣が根付いているらしいが、ルーツを持つ欧米では異なる。まずチョコレートのプレゼントはない。バレンタインカードはあるが、女性からのラブレターではなく、男性からあるいは双方から送られる。勿論ホワイトデーはない。
戦争に出たがらない若者に手を焼き結婚が禁止されていたイタリアで、キリスト教司祭バレンチノはこれを見かねて内緒で結婚させていた。皇帝は改宗を拒否したバレンチノを投獄処刑したのが西暦270年2月14日である。
その200年後、皇帝は長く続いていたルペルクスという豊穣(ほうじょう)の神の祭を禁じ、バレンチノを守護聖人とする新しい祭礼を始めた。未婚女性の名を書いてくじ引きをするルペルクス祭での風紀の乱れを改め、聖人の名を書いてくじ引きし、その聖人の生き方を学ぶというものになったのである。
自分の命を犠牲にしてまで神の愛と慈悲を伝え、実践したキリスト教司祭バレンチノ(英語読みはバレンタイン)は、その後も慕われ、変わらぬ愛の使者として、彼の命日に恋人たちが贈り物やカードを交換するようになっていったようだ。
欧米コンプレックスから卒業してもよさそうな世になって、声高にバレンタインデーを謳(うた)わずとも、この京都には、縁結びや恋人たちの愛の絆にゆかりのものがあることを知ってもらいたい。
ルーツや薀蓄(うんちく)を知らずして踊らされるは少々能がないのでは。
縁結びの神といえば出雲大社が知られている。
大和朝廷と出雲部族の縁結びを果たすため、神々の寄り合いが行なわれ、まとめあげた実績が大きいことに由来していると考える。
さて、身近な縁結びにゆかりのところをあげてみると、誰もがその広告を目にする「縁結び 地主神社」だろう。
授与される縁結びの護符の豊富さに驚く。摂社を含め神社には縁結びの神がいる。
縁結びの神社は次に譲るとして、まず、小生が紹介したいのは「六角堂」ある。
西暦587年聖徳太子を開基として創建され、本尊は如意輪観世音菩薩で、平安時代から霊験を讃えた記録や説話も数多い。
そのひとつに、平安時代初め、妃との出会いを願っていた嵯峨天皇の夢枕に「六角堂の柳の下を見よ」とのお告げがあった。
飛び起きその場所へ行って見て、出会えたのは絶世の美女であった。
嵯峨天皇が妃に迎えたのはいうまでもなかった。
噂は京の都に瞬く間に広まり、「六角堂の柳に願をかけると良縁に恵まれる」と。
その後も「縁結びの柳」として親しまれ、良縁を求める人たちのおみくじが鈴なりで、絶えることは今も無い。
寺伝によると、この柳は小野妹子が3株植えたのが始まりで、青々と茂った枝が地面すれすれまで伸びる珍しい姿から、「地ずり柳」と呼ばれ、植物辞典には学名「ロッカクドウ」という名で記されていると聞く。
メールの絵文字を置いて、ここで願掛けして、初デートの場所にし、告白されるのも風情があるかと。そんな女性が増えてほしいものだ。
バレンタインの意味・起源&世界のバレンタイン事情
https://store.c-c-c.co.jp/column/valentine/origins_of_valentines_day/
地主神社
http://www.jishujinja.or.jp/
六角堂
http://www.ikenobo.jp/rokkakudo/