和食・すし処 しんご
生け簀はえぇ格好の道具でなく
あくまで大衆用、なのである
名だたる高級料亭の板場を預かった大将、岩井さんが病に倒れ、復帰した舞台は木屋町の屋台村だった。通算42年のキャリアの中で、常に共にある魚は「友達」だ。「男前も別嬪もおる。こうしたら喜ぶというのも分かるし、可愛いっすよ」。巨大なバットにもりもりと魚を揚げていく。「単に『生け簀ありますよ?』とちごて、この暴れるのを見てもらうのがえぇんです」。
魚目当てに屋台村時代からの仲間が集う。中にはエリート街道を歩んできたわけではない同業者もいる。彼らには惜しげもなくレシピを教授し、魚をさばく手ほどきもする。ざっくばらんな気質は、「屋台で育ててもろたから、大衆店を貫く」という誓いに依る。 生け簀を通じて成る技術の伝承。2度目に訪れた客の顔を見ることに比肩する喜びは、それを実感したときだ。
石鯛、オコゼ、そい、小潮鯛、うまづら…。その日のおすすめ品書き(A4サイズ)に書ききれないほどの有名無名の魚たち。活きの良さに困ったのはカメラマン。「海水がっ、カメラに…」
京都市中京区木屋町通四条上ル鍋屋町221
木屋町50ビル4F
075・252・0258
17:00~24:00(L.O.23:30)
金土祝前日17:00~翌2:00(L.O.翌1:30)/月休
【平均予算】4500円
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