うるしの近代――京都、「工芸」前夜から/京都国立近代美術館
深い漆黒(しっこく)のつや、華やかな朱色、金や銀の輝き、虹色に光る貝――ウルシの木から採れる樹液を使って器の表面を塗り重ね、蒔絵(まきえ)などの装飾を施す漆芸(しつげい)には独特の美しさがあります。漆は私たちの生活に関わるあらゆるものに用いられ、はるか昔から日本人の暮らしを豊かに彩ってきました。
この展覧会では、まとまった形で紹介されることの少なかった京都の動向にスポットをあてて、近代の漆芸を紹介します。明治時代、日本の近代化はさまざまな形で西洋の文明を取り入れることから始まりました。私たちが普段使っている「美術」や「工芸」という言葉も、この頃に西洋美術の翻訳語として生まれました。そして、京都の漆芸界は、このような東京中心の新しい美術のあり方に大きな影響を受けつつも、一方では洗練された遊びの世界から日常の器にいたるまで、「工芸」という言葉が生まれる以前のものづくりの伝統を脈々と受け継いできたのです。
本展は、京塗(きょうぬり)を代表する塗師(ぬし)の木村表斎(きむらひょうさい)、明治の蒔絵師として名高い富田幸七(とみたこうしち)、近代工芸の革新に中心的な役割を果たした浅井忠(あさいちゅう)と神坂雪佳(かみさかせっか)という二人の図案家、そして彼らの指導を受け、それぞれが京都を代表する漆芸家となった迎田秋悦(こうだしゅうえつ)、戸嶌光孚(とじまこうふ)などの作品を、海外の美術館からの里帰り品も含めて一堂にご覧いただける、またとない機会となるでしょう。京都の漆がどのように近代を迎えたのかを考えることで、「工芸」への新たな視点を探ります。
関連イベント
講演会
■「うるしの近代」
講師:中尾優衣(当館研究員)
日時:8月16日(土)午後2時~3時30分
■「京都の近代工芸産業と神坂雪佳・浅井忠(仮題)」
講師:佐藤敬二氏(京都精華大学教授)
日時:8月23日(土)午後2時~3時30分
会場:京都国立近代美術館1F講堂
定員:100名(午前11時から1Fインフォメーションにて整理券を配布します) ※聴講無料
ギャラリー・トーク
日時:下記日程にて、各日ともに午前11時~11時40分
7月 26日(土) 下出宗明(蒔絵師)、石川良(漆工)
27日(日) 太田勲(漆塗)、長屋綾乃(漆工芸家)
8月 2日(土) 島博樹(漆工)、高畑志寿賀(蒔絵師)
3日(日) 三木啓樂(漆工芸家)、水内倫子(蒔絵師)
8日(金) 大西典子(漆器店)、追立睦(漆工芸家)
9日(土) 岡田嘉夫(蒔絵師)、一瓢良子(蒔絵師)
10日(日) 櫻井勇志(漆塗)、高島新(蒔絵師)
17日(日) 加藤雅士(漆商)、新井悦子(漆工芸家)
24日(日) 加藤友理(漆工芸家)、田中里果(蒔絵師)講師:京都漆器青年会有志+当館研究員
※京都漆器青年会提供の各講師プロフィールは<こちら>
集合場所:当館1Fインフォメーション
定員:先着20名(当日午前10時より1Fインフォメーションにて整理券を配布します)
※聴講無料(要観覧券)
京都漆器青年会によるワークショップ
「漆絵・蒔絵体験」
日時: ①7月26日(土)13:00~16:00(随時受付) ②8月3日(日)13:00~16:00(随時受付)
定員: 各日60名(事前申込者優先) 参加費: 3000円
「お箸に拭き漆」
日時: ①7月27日(日)13:00~16:00(随時受付) ②8月24日(日)13:00~16:00(随時受付)
定員: 各日60名(事前申込者優先) 参加費: 2000円
「金継ぎ」(事前申込制)
日時: ①8月10日(日)13:00〜16:00 ②8月17日(日)13:00〜16:00
定員: 各日20名(事前申込制) 参加費: 6000円
持ち物: 修理する陶磁器(2cm以上の欠けや複雑に割れたものは、時間内に修理できませんのでご遠慮下さい)、持ち帰り用箱
※お申し込み方法については公式ホームページをご確認ください。
■開催日時:2014/7/19~8/24 9:30~17:00 (毎週金曜日20:00)
休館日/毎週月曜日(7/21(祝)は開館、翌7/22休館)
■開催場所:京都国立近代美術館 京都市左京区岡崎最勝寺町(岡崎公園内)
■料 金:一般900円 大学生500円 高校生・18歳以下無料
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。
■主 催:京都国立近代美術館 京都新聞
■お問合せ:075-761-4111
■U R L:http://www.momak.go.jp/