ハイパーリアル・ムービー京で試写
6月20日(金)、今秋一般公開予定の映画「さかなかみ」特別試写会が同志社大学(室町キャンパス)寒梅館ハーディーホールで行われた。
ハーディーホール客席はほぼ満席となり、約750名の聴衆が映画とトークショーを楽しんだ。
(作品概要はこちら http://kyotocf.com/news-hop/entame/sakanakami-info/)
午後6時、上映前登壇した脚本監督の浜野安宏氏が、映画内でも数多くつり上げられるイトウ、サケなどと自然の川での人との接点であるフライフィッシングのロッドをもちしなやかなてさばきを見せた。この映画での主演とも言えそうな釣り竿への愛とこだわりが感じられる一幕だった。
監督の主戦場でもあった都会渋谷スクランブル交差点のファーストシーンから北海道の大自然へと映像は移り、不気味とも聞こえる低く、野太い声のナレーションがこれからはじまるドキュメンタリーと幕間を繋ぐフィクションとの掛け合いに導く。
「猥雑な街中と自然および生き物」、「経験値の高い老人とポテンシャルを秘めたわかもの」、「リアルとフィクション」が織り交ぜられ、見る人に応じて違ったメッセージが仕込まれてゆく。
カメラの視点、視野のダイナミズムが退屈になりがちな無演出な川、魚の映像に切り込み、挿入音楽、サウンドトラックが想像力をかき混ぜてくれた。
多分2、3回と見たり、落ち込んでいたり、酒が入っていたりしたらば、違った見え方、聞こえ方になるのだろうな。
本編100分間、上映後のトークショーでは、撮影監督・ふるいちやすし氏が登場。京都在住の撮影スタッフも紹介され、先ほど見たすばらしいカメラワークの主役たちを拝見できて、特別試写会のありがたみを実感。
また、「これは新しい鉱脈の発見です。浜野君は間違いなく、膠着した日本映画界に大きな流れを創りだしてくれると信じています」との、南野梅雄 映画監督(浜野安宏の大学先輩、座頭市などで勝新太郎とコンビ)の会場でのメッセージが印象に残る。
さらに監督の堀川高校同窓、かのきーやんこと壁画画家木村英輝氏が登壇し、「いとうという魚は美味いのか」「なんで釣った魚を逃がすのや」と切り出す。山伏・修験者で染物屋の浜野監督のお父さんの話が続き、「音を観る」から取った「観音(かのん)」ときーやん主催のロックイベントを名付けるなどの想い出が披露されたり、浜野監督が構想した東急ハンズのネーミング、ロゴも観音さんモチーフでおとうさんの影響や、などと。
浜野監督も旧知を前にして、神泉苑や二条城の堀での魚取りなどの悪ガキエピソードが口をつく。
熟年、老年となってさらに活躍を広げる二人は少年のような笑顔を見せる。
トークのエピローグに、浜野監督が描く第2作、3作の構想が披露され、大きな期待を抱かせるその創作意欲には感嘆させられた。
最後にこの京都での試写会開催の協力者、会社が紹介され、午後9時頃終了となった。