銀色の小さなボールとは? /小山泰之展 「REPEATING」
小山泰之は大学在学中からアルミに着目し、金属工芸作品とともにジュエリーやテーブルウェアの制作を手がけてきました。ここ数年は積極的に展覧会を行い、完成した器物だけでなく、手作業を含む様々な製作工程にも焦点を当てるなど、「工芸の真理」に迫る数少ない作家の一人です。
本展で紹介する作品は、家庭のどこにでもあるアルミフォイルという身近な素材を用い、誰しもが経験を持つ「丸める」という行為を反復することによって生み出された銀色の小さなボールで構成されています。伝統と革新、平面と立体、薄さと厚み、現在と未来など対象的な要素を秘めるとともに、同じ行為を繰り返すという制作手法は「モノをつくるという行為が、工芸へと発展していくさま」を感じさせ、「工芸とは?」と問いかけています。
「球形」というシンプルなフォルムは小山のモノに対する誠実さの表れと見える一方で、モノが溢れる社会に対する皮肉や反抗心も窺うことが出来ます。
自身の魅力である絶妙なバランス感覚によって構築された作品を通して、工芸のみならず美術・建築、またそれ以外の広い世界において様々な意見が生まれることを期待しています。
1979年宮城県生まれ。東北芸術工科大学在学中、アルミを電解し漆で仕上げる独自の技法 “アルマイト染色漆仕上げ”を確立。
2003年、宮城県南三陸町に工房開設、2007年には山梨県南部町に移住、工房を移転。独自技法をベースに美術工芸作品やジュエリーを製作し、国内での個展、海外のアートフェア等へ出品し作品を発表。
近年は、アルミフォイルを手作業で圧縮したシリーズを展開し、より根源的なアプローチでの創作を試みている。
☆★☆★ 小山泰之展 「REPEATING」 ☆★☆★■開催日時:2013/04/26 ~ 5/11 10:00~18:00
☆ 期間中、日曜日祝日とも開廊
■開催場所:清課堂ギャラリー
京都市中京区寺町通二条下ル 妙満寺前町462
■料 金:入場無料
■お問合せ:075-231-3661
http://www.seikado.jp/